山径独歩(やまみちひとりあるき)
2014年1月12日
「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(猿ケ京)」
3D MAP

ルートタイム

1  スキー場レストハウス前       08:40
2  リフト終点地点    10:30     
3  引き返し地点   11:30     
4  スキー場レストハウス前   12:15     
 最初に白状しておくと、今回の吾妻耶山は残念ながら敗退の結果となった。
 まずその経緯を簡単に書いておきたい。
 今回のルート設定の参考にしたのが、山と渓谷社発行の「スノーシュー・コースプランGUIDE」(2006年版)なのだが、この本では、ノルン水上スキー場のリフトを利用して、リフトの終点から歩き出すと案内されている。
 ところが、リフト券売り場に行ってみると、「スキー・スノボを履いていないとリフトには乗れません」と書いてあるではないか。売り場で聞いてみると、やはりダメだとのこと。
 釈然としなかったが、ダメだというものをゴリ押しするのは私の流儀ではない。リフトに乗れないなら歩いて登るまでと、ゲレンデ横の林を登り始めたのは良いのだが、おそらくこんなところを登る人は滅多にいないのだろう、まったくのトレースなしの上、深い新雪に悩まされ、さらに登れそうなルートを探しながら時には腰まで雪に埋まりながら急斜面を這い上りと、悪戦苦闘。リフトに乗れば数分の距離に、たっぷり2時間もかかってしまう。
 リフトから降りてくるスキー客を横目に見ながら、さらに先に進むべく樹林帯の斜面に踏み込むが、これがまたかなりの急斜面。1時間かかって数十メートルしか進まず、このベースでは時間的に山頂まではかなり厳しい上、体力の消耗も激しく、今回は残念ながら敗退を決意することとなったのである。
吾妻耶山
吾妻耶山
 まったくトレースのない、林の中を登る。
 右側にはゲレンデが見えているので迷う心配はないが、意外と急斜面や足場の不安定な岩場、また沢なども多く、まっすぐ登るという訳にはいかない。右へ左へと登れそうな地形を探しながらじわじわと登っていく。
吾妻耶山
 地図を見てもらうと分かるが、ゲレンデの中を縫うように車道がリフト終点付近まで伸びている。
 そこに駐車場があり、無雪期はそこが登山口になるのだが、もちろん冬は閉鎖である。ゲレンデ脇を登っていると、何度かこの車道にぶつかることになるが、斜面を削って作っている道のため、車道を渡った先はほぼ急斜面になっている。取り付き点を探してうろうろし、何度かアタックして失敗しながらなんとか先へ進む。
 雪まみれになりながら歩を進め、もう少しでリフトの終点というあたりで、この区間最大の急斜面が現れる。しかも吹き溜まりになっているようで、雪もかなり深い。
 軽いキックステップでは足下の雪を崩して足場をなくすだけなので、思い切りスノーシューを履いた足を雪に深く蹴り込み、ストックもそれを持つ腕まで潜るほど突き立てる。一歩進むのに1分以上はかかっただろう。急斜面の距離はおそらく20mほどだったと思うが、気の遠くなるような長さに感じられた。
 ようやっと急斜面を登り詰め、再び車道に出る。あとはこの車道に沿って回り込めばリフトの終点に出る。
吾妻耶山
吾妻耶山
 リフトの終点付近の展望は素晴らしい。武尊山系の山々が一望に見渡せる展望ポイントだ。
 さてここからのルートだが、ガイドブックでは、ゲレンデの端を歩き、途中から脇の斜面を斜登するように紹介されていた。確かにそれが一番楽なルートのようだが、ゲレンデを歩くのは気が引け、夏径に近いあたりで登れそうな斜面に取り付く。
 取り付きはそうでもなかったのが、登るうちにだんだんと急斜面になり、雪も深く、なかなか歩がはかどらなくなる。
 どうやら数十メートルほど進んだあたりで時計を見ると、リフトの終点からもう1時間も経っている。斜面はいくらか緩くなってはいるが、深い雪と、ここまでの体力の消耗で足が異様に重い。
 ここまでで山頂までの行程の約半分である。ここまで3時間かかっているから、単純計算で山頂まで6時間。下山の時間を考えるとスキー場の終了時間の16時に下山できない可能性が大きくなってきた。残念だが、今回は山頂を断念し、ここで引き返すことを決心する。

 下りももう少し苦労するかと思ったが、基本的に自分のトレースがあるため、あっけないほど速く、45分ほどでスタート地点であるレストハウスに到着。登りで3時間も悪戦苦闘したのが嘘のようだ。
 今回は残念ながら山頂を踏むことはできなかったが、また作戦を立て直し、必ず再挑戦したいと思う。
 ※後日、詳細をアップしますが、再び挑戦すべく訪れたときは登山者と承知の上でちゃんとリフトには乗れました。今回、乗れなかったのは窓口で何か誤解があったようです。
山径独歩(やまみちひとりあるき)