2014年3月28日
「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(猿ケ京)」
3D MAP
ルートタイム
1月にリフトに乗れず敗退した吾妻耶山だが、その後、ネットでいろいろと情報を収集していると、3月に入って、リフトに乗って登頂したというレポートをいくつか読むことができた。
3月も終わり近くになり、雪の状況はどうかとも思ったが、まだ充分に雪も残っているようなので、思い切ってリベンジに出かけることにした次第である。
前回は関越道のスキー客渋滞にはまって到着がずいぶん遅れてしまったが、今回はそれもなく、朝7時にノルン水上スキー場に到着。
リフトの運行開始は7時30分なので、のんびり支度をする。
天気は上々で、朝7時だというのに、全然寒くない。シャツ1枚でも充分なほどだが、一応急な天候の変化を考え、アウタージャケットは着て、インナーは車に置いて行くことにした。
スノーシューはどうしようかと迷い、試しに道の脇の踏み固められていない雪に足を踏み入れてみる。だいぶしまっているかと思いきや、これが意外と潜る。これはスノーシューは必携だ。
準備を整え、7時半過ぎにリフト券売り場へ。
もろ登山のいでたちで、ドキドキしながら「1回券」と言うと、なんの躊躇もなく売ってくれたので少々拍子抜け。
チケットを持って第3クワッドリフト乗り場に行くと、なんと「下山はどうしますか?」と聞かれる始末。
こんなことなら前回もう少し粘ってみるべきだったかなぁ。と苦笑いしながらリフトに乗り込む。
リフトの上から左側を見ていると前回苦労した斜面が飛ぶように流れて行く。なんだか複雑な気持ちになった。
ノルン水上スキー場から望む。左が大峰山、右が吾妻耶山。
あっという間にリフトの終点に到着。
前回ここを通ったときにはかなり体力を消耗していたが、今回はここからスタートだ。
スノーシューを履き、いざ出発。
前回苦しんだ急斜面を登る。
あいかわらず手強い斜面だが、前回よりもスノーシューの沈み込みが少なく、足下の雪の崩れ方も小さい。それに体力もたっぷりと残っており、だいぶ楽に歩を進めることができた。
今回は、どうせなら欲張ろうと思い、隣の大峰山を登ってから吾妻耶山に登る計画だ。
途中から道を外れ、斜面の緩いところを選んでショートカットし、稜線に上がる。
ここまではまったくトレースはなかったが、稜線上にはうっすらとトレースが残っていた。
とりあえず、吾妻耶山とは反対方向に稜線をたどり、大峰山に向かう。
大峰山の山頂直下にある電波等のそばを通る。
この稜線歩きは急なところもなく、トレースもあるため、非常に歩きやすい。
ほどなく大峰山山頂に到着。
平坦な、あまり山頂らしくない山頂で、しかも電波等に引く電線の電柱が立っているのが艶消しだ。
さて、今歩いてきた稜線を逆に辿り、吾妻耶山に向かう。
途中までは痩せ尾根歩きでルートははっきりしているが、途中からルートが不明瞭になる。トレースもだいぶ消えており、地形と方角を目安に歩いて行くと、右手の斜面の上の方からスキー場の声が聞こえてきた。
斜面を登ると樹林帯を抜け、第1クワッドリフトの終点に出た。
ここまで来れば山頂はもう目の前だ。
リフト降り場を通り過ぎ、山頂へと続く斜面に取り付く。
少し登って振り返ると、大峰山からここまで歩いてきたルートが一望できる。
なかなかの急登を30分ほど登ると、山頂直下の最後の急登が現れる。
距離は10mほどだが、ほとんど壁である。登れるかなと思い、試しにつま先を蹴り込んでみると意外としっかりした手応えで、なんとかいけそうだ。一歩一歩息を切らしながらよじ登る。
急登を登りきると、石の祠が三つ並んでいる山頂に到着だ。
山頂からは谷川岳方面の山々が一望にできる。
時間はまだ10時過ぎ。天気は上々で風もなく、日差しはポカポカ暖かい。少しのんびりしようと、腰掛けられる場所を探したが、あいにくと良い場所がない。
祠の一つの前が少し窪んでいたので、そのくぼみを利用して雪のソファーを作り、腰を下ろす。我ながらなかなかの出来だ。
コーヒーを沸かして飲みながら行動食を齧る。雪のソファーの冷たい感触が心地よい。
何気なく目の前の祠を眺めていると、そこに六文銭が彫り込んであることに気がついた。近く似合った説明板を見ると、やはりこの祠は真田家の建立の様である。1662年とあるから、江戸期。つまり真田幸村の系統ではなく、兄の真田信幸の系統だろう。
さて、だいぶのんびりしたので、そろそろ下山にかかることにする。
下山は山頂からゴールを結ぶ、ほぼ一直線の最短ルートをとる。道のないところを歩くため、積雪期にしか歩けないルートだ。
しかし、山頂付近からそちらのルートに入る方向はほぼ崖に近い急斜面のため、どこから降りるか迷ったが、適当な所を選んで下り始める。気温が上がったこともあり、雪がだいぶグズグズになってきており、一歩進むごとに足下で小さな雪崩が起きるのを木に掴まって凌ぎながら下って行く。
所々に穴があり、場所によっては穴の下につららがびっしりとできていたりする。穴にはまらないよう、注意が必要だ。
下り始めの急斜面が終わってからも、時折現れる急斜面。歩いて降りようとすると足下の雪が崩れてかえって危険なので、スノーシューをブレーキに使いながらシリセードで下る。すると、周りの雪も一緒に落ちるので、緩斜面になって止まる頃にはほぼ下半身が雪に埋まっている状態だ。
また、樹林帯で見通しがきかないため、地形と方角で進路を決めるが、これがなかなか難しい。途中から現れる尾根の上を辿る予定だったのだが、気がついたら尾根の下の谷に入り込んでいた。地図で地形を見ると尾根の下からでも行けそうに思えたので、そのまま進んでみたが、途中で沢に阻まれ、進めなくなってしまう。
仕方なくスノーシューを外し、雪のない尾根の斜面を登り、尾根の上に出て少し歩くと車道が見えてきた。だが、車道に出るには沢を渡らなければならない。沢と言ってもかなりの水量で流れも早い。見ると丸太の一本橋がかかっている。だいぶ痛んで折れないかとビクビクしながら渡り、車道へ。
このまま車道を行けば駐車場に戻れるのだが、車道はスキー場の中を通っているため、再び樹林帯の中を抜けてショートカットする形で先の車道へと抜ける。
後は車道を歩いて数分で駐車場へと戻ることができた。
今回は、前回のリベンジとしての計画だったが、結果としては大成功。予想以上に楽しめた山行となった。リフトにさえ乗れば本当に手軽に楽しめる雪山なので、初心者のルートファインディングの練習コースとしても適しているのではないかと思う。