広大な大雪原を登る
2019年4月29日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(月山)」
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ルートタイム
さて、湯殿山に続いて二日目は月山である。
アプローチは月山スキー場のリフトを利用するため、8:30のリフトの始発に合わせ、7時過ぎに車中泊をしていた「道の駅にしかわ」を出発。ここから月山スキー場の駐車場までは30分ほどだ。
駐車場は既に登山やスキー客でだいぶ賑わっており、その中に車を駐めて準備にかかる。ここからリフト乗り場までは15分ほど歩くので、少し急ぎ足で駐車場を出発。
丘の向こうにちょこっと屋根だけ見えるのがリフト乗り場だ。
途中で見かけた丘に立つ木。なんかとても格好いい。
リフト乗り場に着くと、まだ稼働前だというのに乗り場は既に長蛇の列。チケットを購入し、入山届を提出して列の後ろに並ぶ。
それでもリフトが動き出すと、それほど待たずに順番が来て、リフトに乗り込み、景色を楽しみながら登って行く。昨日に引き続き天気は最高。いい登山になりそうだ。
リフトを降り、雪の具合を見るとよく締まっている。カンジキは必要なさそうなので、アイゼンを装着。
まずは目の前にそびえる姥ヶ岳の急斜面に取り付く。
距離はそれほどでもないが、かなりの急勾配の斜面を一直線に山頂へ。
少し登っただけで素晴らしい景色が広がる。
20分ほどで姥ヶ岳山頂に到着。
ちなみに姥ヶ岳を巻いて直接月山を目指すことも可能だが、自分としてはせっかくなので姥ヶ岳経由のルートを選択。
ここからは昨日登った湯殿山がすぐ下に見下ろすことができる。
ここからはこれから歩く月山山頂までのルートが一望できる。山頂の建物群まではっきりと見て取れる。
小高いピークに登った後、一旦大きく下ってから稜線沿いのゆるやかな径へ。
ふりかえると、後ろからも大勢の登山者が登ってきていた。
ピークから見下ろすと、湯殿山神社が見える。以前、夏に登った時は湯殿山神社から登ったが、その径がこのあたりで合流するわけだ。
ピークから下り、しばし平坦な歩きやすい径を楽しむ。しかし目の前にそびえる斜面はかなり手強そうだ。
ちょっと気になる足跡を発見。熊だろうか。
そろそろ登りに差し掛かってきた。まだ傾斜はそれほどでもないが、この先はざんどんきつくなる。
だんだんと傾斜がきつくなり、いよいよ大詰め。一歩一歩が息が切れるほどだ。
ようやっと急登を登り詰めると、山頂の建物が見えてくる。もう一息だ。
ここを登れば山頂だが、せっかくなので、左側の鳥居をくぐって参道から登ることにする。
半分以上雪に埋まっている鳥居を仰向けになって滑り台のようにくぐり抜ける。
急な階段に雪が積もり、さらに吹き溜まって急坂になっている山道をよじ登る。
登りきると目の前には屋根まで雪に埋まった本殿が。
振り返ると、これがなかなかの絶景である。
本殿の向こうには鳥海山がきれいに見えている。本当に良い天気だ。
本殿の裏側はかなり広い雪原になっている。
20分ほど山頂を満喫し、下山にかかる。
登りは稜線伝いに登ってきたが、下りは途中から左の谷筋に沿って下山する予定だ。
振り返ると、この傾斜である。登りも苦労したが、下りは早くも膝が笑い出しそうだ。
さて、きつい下りを終え、コルに降りたあたりから左に折れて谷筋へと向かう。
谷筋と言っても谷底まで降りるわけではなく、谷筋に沿ってこの斜面をトラバースして行く感じだ。
広大な大雪原を歩くのは本当に気持ちがいい。
それにしても陽が高くなり、雪の照り返しがものすごい。顔の露出している部分がだいぶヒリヒリしてきたが、これはなかなかひどい雪焼けになりそうだ。
谷筋の核心部に入っていくとかなりの傾斜のトラバースになり、少々恐怖感がある。高所恐怖症の方には厳しいかもしれない。さらに上を見上げると巨大な雪庇が張り出しており、あれが崩れてきたらと思うと背中を冷や汗が流れる。
早く通り抜けてしまおうと焦るが、気温が上がってきたせいで足元の雪がかなり脆くなってきており、思うように進めない。
一人、自分の前を歩いていた人がいたのだが、彼の足元が崩れ、滑落しかけるのが見えた。なんとか踏みとどまり、事なきを得たが、見ているこちらも冷や汗ものだ。
雪庇と滑落の恐怖と戦い、脆い雪の斜面に悪戦苦闘しながら汗だくになってどうにか危険エリアを通り抜けた時には息も絶え絶えだったが、ここまでくるともうゴールの駐車場も見え、とにかくほっと一安心。
上の写真はそこから振り返って撮影した危険地帯だ。
あとはもう安心。まばらな木立の間を下って行くと5〜6分で道路に降り、あとは駐車場まで歩くだけだ。
今回、自分はネットの情報で「登山者は谷筋を下る」という情報を読んでいたのでそちらを下ったのだが、多くの人は姥ヶ岳の巻道を辿ってゲレンデに戻り、ゲレンデを下っていたようだ。確かに今回自分が通った谷筋のトラバースルートは危険度も高く、決して一般的にお勧めできるルートではない。計画の際には十分ご留意されたい。