山径独歩(やまみちひとりあるき)
2015年7月25〜27日


「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(穂高岳・上高地)」

ルートタイム

1日目

1  上高地       09:50
2  明神   10:40  〜  10:50
3  徳沢   11:40  〜  11:55
4  横尾   12:50  〜  13:20
5  本谷橋   14:30  〜  14:50
6  涸沢   16:50     

2日目

6  涸沢        05:00
7  北穂高岳山頂   09:25  〜  10:45
8  涸沢岳山頂   13:30  〜  13:35
9  穂高岳山荘   14:00     

3日目

9  穂高岳山荘        04:50
10  奥穂高岳山頂   05:45  〜  06:00
11  紀美子平   07:30  〜  07:40
12  前穂高岳山頂   08:10  〜  08:20
13  紀美子平   08:50  〜  09:05
14  岳沢   10:55  〜  11:15
15  上高地   13:20     
 実を言うとこの計画は3年越しでやっと実現したものである。
 一昨年には意気揚々と出かけたものの、途中で体調が悪くなり、断念して下山。昨年はリベンジしようと思っていたところ、6月下旬頃に再発した自然気胸により入院・手術となり、やはり断念。3度目の正直でやっと実現した計画だ。
 最近、北アルプスあたりでは一般ルートでもヘルメットが標準装備になりつつあると聞いていたので、最初、私も今回はヘルメットを買って持っていこうかと思っていたのだが、なかなか気に入るヘルメットがない。まあ今回は見送ることにして、準備を整え、梅雨明けを待つ。
 ところが、梅雨明けの発表後も一向に天気が良くならず、週間予報も1週間雨のまま数日が過ぎた。
 そんなある日、仕事帰りにふと思いついて山道具屋に寄り、とにかく一番安いヘルメットを買ってみた。
 するとどうだろう。そこから家に帰る途中の電車の中で、いつも通り天気予報をチェックすると、さっきまで雨マークだらけだった予報が一転してすべて晴れマークに変わっているではないか。
 これはもしかして「危険だからヘルメットを買わないと行かせないよ」という啓示だったのだろうか。あまりのタイミングの良さにそんなことをつい考えてしまう。

 そんなことがあり、7/25早朝に家を出発、いつも通り沢渡大橋の駐車場に車を駐めて9時30分頃に上高地に到着。意外に松本で高速を下りてからが渋滞しており、予定より1時間近く遅れてしまったが、焦りは禁物と、落ち着いて準備をし、10時前に歩き始める。

1日目

上高地
梓川
 いつもながら混雑する河童橋の袂を抜け、気持ちの良い木立の道を歩き出す。
 久しぶりのテント装備の荷物が重い。
 やはりいつもながら梓川の水の清々しさには心が洗われる思いだ。
横尾
 3時間ほど歩いて横尾へ。ちょうど昼時分なのでここで大休止にし、コーヒーと行動食で腹ごしらえ。
 30分ほど休んで、横尾大橋を渡る。この橋を横尾側から渡るのは初めてだ。
 いつもはここから槍沢まで、1時間半ほどで初日の行程が終了だが、今回は涸沢までまだ3時間以上かかるだろう。まだ先は長い。
屏風岩
本谷橋
 真下から見上げる屏風岩。これを登ろうってんだからすごいねえ。
 横尾から1時間ほどで本谷橋に到着。ここまではほとんど登りはなかったが、ここから涸沢まで続くきつい登りに備えてここで休憩。
 橋のたもとには水場もあるので、たっぷりと水分補給をする。
本谷橋
涸沢
 本谷橋のたもとになっていた、これは山桜の実だろうか。
 しばらく登っていくと、遠くに涸沢のテント群が見えてきた。
涸沢
涸沢
 涸沢が近づいてくると、だんだん雪渓のそばを歩くようになる。雪の上を通り抜けてくる涼やかな風が心地よい。
 息も切れ切れになりながら、ようやっと涸沢下の雪渓へ。
 ここを登りきればもうそこは涸沢だ。
涸沢
涸沢・北穂高岳
 17時近くなって涸沢に到着。思ったより時間がかかってしまったが、とりあえず、今日の目的地だ。
 テントの申し込みをして、良さそうな場所を選んでテントを設営。
 今年はまだ雪が多く、テント場はほぼ雪の上だ。
涸沢・前穂高岳
 着いた時間が遅かったので、もう日が暮れかけていた。最後の陽が当たる前穂高岳の上には弓張月がかかる。

 やはり陽が沈むと急激に寒くなる。薄手のダウンを着ていてもじっとしていると震えがくるほどだ。夕暮れの山々を眺めながら晩飯と洒落込みたかったが、早々にテントに潜り込むことにした。
 晩飯は鍋風に餅を煮る。最近の私の定番メニューだ。味付けはいろいろと工夫しているが、今回はポーションタイプのキムチ鍋のスープを使ってみることにした。
 ところがこれがマズい。
 どうしようかと思ったが、残しても捨てるわけにいかない山の中。無理をしてスープまで全部飲み干す。
 口直しに改めてお汁粉でも作ろうかと思ったが、少し胃がもたれ気味になってしまったので、早々に寝てしまう。

2日目

涸沢
 4時頃に目が覚めると、外は風が強いらしく、テントの壁が風にたわんで頭に押し付けられている。
 ファスナーを開けて外を見るとどうやら天気は良さそうだ。
 テントの中で簡単に朝食を摂り、外に這い出す。寒さはそれほどでもない。
涸沢
涸沢・北穂高岳
 外に出ると、朝日に映える穂高連峰が目に飛び込んできた。しばしこのダイナミックな景色を堪能する。
 北穂高岳。今日はとりあえずあそこまで登り、さらに穂高岳山荘まで行く予定だ。
涸沢・北穂高岳
  テントから荷物を出すと、強い風を受けてテントが舞い上がる。飛んで行かないように注意しながらやっと畳み、荷造りを終え、水筒に水を満たしたら出発だ。
 北穂高岳への道を見ると、既に登り始めている人がいる。時刻はちょうど5時。さあ出発だ。
北穂高岳
涸沢・北穂高岳
 この道は登るにつれてだんだんと急になってくる。陽が登ると岩の照り返しが眩しい。
 振り返るとさっき出発した涸沢が真下に見えた。だいぶ登ってきたが、まだまだ先は長い。
北穂高岳・南稜取付
北穂高岳
 南稜取付のハシゴ。山頂までの行程の半分は越えたが、ここからまだまだ難所が続く。
 ハシゴを登ると一気に視界が開ける。北尾根越しに富士山も見え、景色を眺めながらしばし休憩。
北穂高岳
北穂高岳
 延々と続く急登にだいぶバテぎみ。
 北穂高岳からはさらに難所と言われるルートを通って奥穂高岳まで行く予定だが、こんな状態で行けるかが危ぶまれてきた。
 やっと北穂高岳のテント場が見えた。山頂まではあと10分ほどか。
北穂高岳・槍ヶ岳
北穂高岳・大キレット
 北穂高岳山頂に到着。槍ヶ岳が見事だ。
 前回来た時はガスに包まれ、まったく展望がなかったので、きれいに晴れたこの展望は感無量だ。
 大キレット。
北穂高岳・槍ヶ岳
北穂高岳・大キレット
 滝谷越しに奥穂高岳、ジャンダルムも見える。
 こちらは北尾根と前穂高岳。
北穂高岳
 山頂の展望を堪能した後は、すぐ下の北穂高小屋に降りる。
 この小屋の前の展望テラスはとても良い場所で、前回も大キレット踏破後にここでのんびりしたことがある。
 テラスで湯を沸かしてアルファ米の五目ご飯を食べていると、ここまで来る途中で出会い、話をしたTさんが遅れて到着した。
 この方、なんと74歳で、しかも膝に人工関節を入れたばかり。そのリハビリと言って北穂高岳に登って来たというのだからそのバイタリティには驚くばかりだ。
 私はと言えばだらしのないことに、ここまで登ってくるのにだいぶバテてしまっていた。
 もう3,000m級には何度も登っており、高度順応は全く問題なかったはずなのだが、今回は初心者の頃のようにやけに息苦しい。やはり昨年の肺の手術のせいだろうか。
 場合によってはここから敗退して涸沢に降りようかとも考えていたのだが、とりあえず満腹になり、コーヒーを飲みながらTさんと話をしているうちに何だが気分がすっきりとし、元気が戻ってきた。
 いつの間にか、隣のテーブルにいた5人ほどのパーティも加わり、山談義に花が咲く。
 彼らも穂高岳山荘に行くらしく、同じルートを行く人がいるという心強さもあり、私も予定通り穂高岳山荘に行くことに心を決めた。
 先行する彼らを見送り、もうしばらくTさんとおしゃべりをしてから、冗談で「一緒に涸沢に降りようよ〜」というTさんに別れを告げ、奥穂高岳に向かう難ルートに足を踏み入れる。
涸沢槍・涸沢岳・奥穂高岳
 滝谷ドームの脇を過ぎると、正面に日本第3位の奥穂高岳が望める。手前にあるのが涸沢槍と涸沢岳だ。
涸沢槍・涸沢岳
涸沢槍・涸沢岳
 高度感のある岩場が続く。
涸沢槍・涸沢岳
涸沢槍・涸沢岳
 北穂のテラスで話したパーティに追いつく。彼らとは後になり先になり、翌日の下山するまでよく顔を合わせることになる。
 とても明るい人たちで、単独行の私はずいぶんと和ませていただいた。
涸沢槍・涸沢岳
涸沢岳・涸沢槍
 さんざんアップダウンを繰り返し、足と心臓が悲鳴を上げているところにこの登りだ。おそらくこれが涸沢岳へのクライマックスの登りだろう。
 稜線まで登って一息。振り返ると歩いてきたルートが一望できる。
 結局、涸沢槍はどこだかわからなかった。
涸沢岳
涸沢岳
 ここまで来れば涸沢岳は目の前だ。
 歩きやすい平坦な道を歩いて山頂へ。
 正面にはジャンダルムがそびえる。
 涸沢岳山頂に到着。とても展望の良い場所だが、狭い。
涸沢岳・穂高岳山荘・奥穂高岳
涸沢岳・穂高岳山荘
 眼下には穂高岳山荘。その先に続く奥穂高岳とジャンダルムまでが一望できる。
 しばし景色を楽しんだ後、穂高岳山荘に下る。今日はそこがゴールなのだが、とにかくこの下りが急で、疲れきった脚が笑いそうになる。
 転げ落ちないよう慎重に下る。
穂高岳山荘
 山頂から下ること30分ほどで穂高岳山荘に到着。
 ヘリポートの横を通り、テント場を抜ける。テント場の横にあった小屋を受付小屋だと思い込んで、いきなり扉を開け、「一張お願いします!」と言ったら、夏山診療所だった。
 謝って扉を閉めると入口に大きく夏山診療所と書いてある。早とちりもいいとこだ。
穂高岳山荘
穂高岳山荘
 改めて山荘に行き、申込をしてテント場へ戻る。
 稜線上の狭い場所のため、テント場もどこも狭い。先刻間違えた診療所の前が良さそうだったので、そこにテントを設営。
 写真を見てもらうと分かると思うが、テントの前が30cmほどしかなく、そこを奥のテントの住人が通るので危なっかしい。
 テントは設営したが晩飯にはまだ早いので、石に腰を下ろし、景色を眺めて時間を過ごす、いつもながらパイプを吹かしながらぼーっと景色を眺めていると、あっという間に時間が過ぎる。
 やはり高山のこと、昼間は暑いぐらいだったのが陽が沈むと急に寒くなる。17時頃に晩飯にし、暮れ行く山の景色をもう少し眺めていたかったが、疲れているのと寒いので、早々にテントに潜り込んで寝てしまう。

 夜中、ふと目を覚まして時計を見るとちょうど12時。テントのファスナーを開けて空を見ると、久々の天の川。
 これだけきれいに見えたのは3年前の剣沢以来だ。もっとよく見ようとテントから上半身を乗り出すと、テントの前がすぐに崖になっているのを思い出し、慌てて踏みとどまる。危うく下の人のテントの上に落ちる所だった。

3日目

穂高岳山荘
穂高岳山荘
 朝3時30分に起床。テントの中で簡単に朝食を摂り、荷造りを始める。
 朝焼けの始まった夜明けの景色が素晴らしい。遠くには松本の街の夜景も見える。
 すでに早出の登山者が登っているヘッドランプの灯が見える。
 昨日仲良くなったパーティも4時に出立すると言っていたが、もう出たのだろうか。
穂高岳山荘
穂高岳山荘
 4時30分頃、だいぶ明るくなってきた。
 今日は最終日。ここから奥穂高岳に登って吊尾根を越え、前穂高岳をピストンして岳沢経由で上高地に下山する予定だ。
 準備万端、出発しようと思い、山荘で水筒に水を詰める。見ると山荘前のテラスでは大勢が並んで景色を眺めている。どうやらそろそろ御来光のようだ。せっかくなので御来光を拝んでから出立することにした。
穂高岳山荘
穂高岳山荘
穂高岳山荘
 北アルプスには何度か来ているが、いつも朝はガスに巻かれ、御来光をちゃんと拝めたことはなかった。今回初めてきれいに拝むことができた。
穂高岳山荘
穂高岳山荘
 さて御来光を拝み、登り始める。山荘の前はほとんど風がなく、それほど寒くもなかったが、少し登るとかなりの風が吹いており、寒い。ほんの数十mほど登っただけなのに不思議だ。それとも陽が出たので風が吹き始めたのだろうか。
 今回はウインドブレーカーは持って来なかったので、ザックから合羽の上着を出して着る。
 朝日に映える笠ヶ岳。
穂高岳山荘
奥穂高岳
 鎖場の連続する取り付きを過ぎて振り返る。ここから見ると、昨日下ってきた涸沢岳からの径はすごいところについているのが分かる。
 中央奥に見えるのはもちろん大好きな槍ヶ岳だ。
 とにかく急登が続く。起き抜けにいきなり鎖場や梯子、そして急登と続き、心臓が破裂しそうだ。
 とりあえず奥穂高岳の山頂は見えた。
 距離の関係で中央が一番高く見えるが、山頂はその左側の奥に見えるピークになる。
奥穂高岳
奥穂高岳
 右手を見ると、光と影の芸術。あれは笠ヶ岳だ。
 山荘から山頂まで、想像していたよりもだいぶ長く感じたが、やっと山頂が目の前に。
 日本第3位の奥穂高岳山頂だ。
奥穂高岳
 山頂には石垣があり、その上に祠がお祀りしてある。
 そこに登るのは一応石段なのだが、ほぼ垂直に近い。
奥穂高岳
奥穂高岳・ジャンダルム
 奥穂高岳山頂から眺める槍ヶ岳。その間の稜線も一望のもとに見える。
 こちらはジャンダルム。
奥穂高岳・ジャンダルム
奥穂高岳
 ジャンダルムの上をよく見ると、人がいるのが見える。
 山頂の石垣を下りて前穂高岳側に抜けると、ちょっとした広場があり、休憩にはもってこいだ。
吊尾根・前穂高岳
吊尾根
 少々休憩し、軽く腹ごしらえもして、腰を上げる。これから向かうのは吊尾根を抜けて前穂高岳だ。まだまだ楽しい難所が続く。
 スリリングな道が続く吊尾根だが、それよりも地形が複雑で、マーカーはあるのだが迷いやすい箇所がいくつかある。
吊尾根・涸沢
吊尾根・上高地
 やはり間違えて涸沢側に出てしまった。ここは間違える人が多いらしく、きわどい崖の斜面に踏み跡があり、少し進んでみたが、行き詰まってしまったので戻る。
 かなり危険な場所なのでくれぐれも間違えないようにしてほしい。吊尾根の道はすべて上高地側であり、涸沢側につけられた道はない。
 ふと見ると、上高地の方に虹がかかっていた。
吊尾根・明神岳
吊尾根
 こちらは明神岳。いずれ行ってみたいところだ。
 紀美子平に近づいてきた頃、だいぶガスが流れてきた。
紀美子平・前穂高岳
吊尾根
 奥穂高岳山頂から1時間半ほどで紀美子平に到着。紀美子平は人でごった返しており、前穂高岳に登っている人のデポしたザックがそこらじゅうに転がっている。
 私もザックをデポして行くつもりなので、隙間を見つけてザックをおろす。
紀美子平・前穂高岳
前穂高岳
 ザックをデポし、空身で前穂高岳にアタック。テント装備17kgがなくなった背中は軽く、急な岩場を軽々と登って行く。
 登山者視点で見るとこんな感じ。
前穂高岳
前穂高岳
 今回も遭遇できたブロッケン現象。
 両手両足を駆使してひらすら登って行く。
前穂高岳
前穂高岳
 高度感のある場所を登れば上は山頂だ。
 紀美子平から30分ほどで前穂高岳山頂に到着。きつい登りだが、空身なのであっという間だ。山頂はかなり広く、展望は最高だ。
前穂高岳
前穂高岳
 広い山頂を縦断して突端まで行くと、北アルプス核心部が一望できる大パノラマが楽しめる。
 しばらく景色を堪能し、下山にかかる。
 ここからはひたすら上高地まで下るだけ。もう登りはない。
 それにしても上から見る前穂高岳の斜度は恐ろしいほどだ。
 下山中、途中で登ってきた人と話す。なんでも紀美子平の近くで登山者が一人倒れ、救助要請をしたとのこと。
 倒れた原因は分からなかったが、下の方にそれらしき人がうずくまっているのが小さく見える。まあ大事にいたらなくて良かった。
前穂高岳・紀美子平
重太郎新道
 紀美子平まで下り、少し休んで、さらに下山にかかる。ここからしばらくはまだ急峻な重太郎新道を下らねばならない。
 相変わらず紀美子平は混雑し、重太郎新道への下山口も渋滞していた。
 紀美子平から少しの間、多少スリリングな岩場が続く。私などはもう麻痺してしまって平気で歩いていたが、意外と慎重に下っている人が多かった。
重太郎新道
重太郎新道
 どうやら県警のヘリが救助に来たようだ。
 ちょうど岩が切れ、見通しが良くなった所で、救助活動の様子を見ることができた。
重太郎新道
重太郎新道
 眺めが良く、気持ちの良い稜線歩き。
 下ってきた道を振り返る。
重太郎新道
重太郎新道
 岳沢パノラマより上高地を眺める。
 重太郎新道は登ってくる人も多い。
 すれ違いのできない狭い岩場では、登ってくる人が途切れないといつまでたっても降りられないので、声をかけて通してもらう場面もちらほら。
重太郎新道
 岳沢小屋に到着。
 この小屋は平成18年に雪崩によって全壊し、その後閉鎖されていたが、重太郎新道ルートのアタック基地としての重要性から平成22年に再建された。まだ新しく、とてもきれいな小屋である。
 岳沢からは一転して歩きやすい道になり、のんびりと上高地へと向かう。今回の山行もそろそろ終了だ。寒いほどだった今朝とはうって変わって、下界は暑い。途中の名所、風穴では時間を忘れて涼んでしまい、1時前に上高地へ。
 上高地に出てからバスターミナルまでが意外に長く、ここまで来て気が緩んだこともあって急に脚が棒になる。
 それでももろに登山スタイルでヒーヒー言いながらあるくのも恥ずかしいので、虚勢を張って平気な顔をして歩き、バスターミナルへ到着。

 冒頭にも書いたが、今回の山行きは3年越しの計画。3度目の正直でやっと達成することができ、北アルプスの核心部もだいぶ制覇することができた。残るは西穂高岳〜奥穂高岳の難ルートだ。ここはまたレベルが違うという話なので、充分に下調べをし、いずれ挑戦してみたいものである。
山径独歩(やまみちひとりあるき)