2015年3月15日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(鎌田、藤原湖)」
ルートタイム

武尊山は「ほたかやま」と読み、北アルプスの穂高と紛らわしいため、上州武尊と呼ばれることが多い。
この山は沖武尊(2,158m)を主峰とし、中ノ岳(2,144m)、家ノ串(2,103m)、前武尊(2,040m)、剣ヶ峰(2,083m)、剣ヶ峰山(2,020m)、獅子ヶ鼻山(1,875m)、西峰(1,871m)の八つの主なピークにより構成される。
もう8年ほど前になるか、もちろん夏山だが、子供連れの家族登山で登ったことがある。その時は「水上宝台樹やすらぎの森キャンプ場」にテントを張ってベースキャンプとし、武尊神社から入山して沖武尊、剣ヶ峰山を登り、周回コースで穂高神社に戻るルートをとった。
そのルートは岩場や鎖場も多く、冬山としては難易度の高いルートとなっており、今回はルートも短く比較的難易度の低い、川場スキー場のリフトを利用し、剣ケ峰山から沖武尊を往復するピストンルートを選択した。
朝、暗いうちに家を出発。だんだんと明るくなって行く空を見ると、どんよりと厚い雲がたれ込めている。
予報は快晴のはずだったのに、と少々残念に思いながらも車を走らせ、7時30頃に川場スキー場に到着。スキー客でごった返す駐車場の中で準備を整え、リフトのチケットカウンターへ。まだオープン前だというのにチケットカウンターは長蛇の列だ。そして意外にも登山客の姿が多いことに驚かされた。
とりあえず列に並び、順番を待つ。自分の番が来てリフトのチケットを買おうとすると、まず入山届けを書いてから並ぶよう言われた。チケットを買う時にどこで出すのか聞こうと思っていたのだが、入山届けを出さないとチケットを売らないシステムのようだ。
どこかに書いておいてくれればいいのに、と思いながらも入山届けを書き、改めて列の最後尾に並び直す。
やっとのことでチケットを買い、時間も良いのでリフト乗り場へ。登山口へはBリフトとDリフトを乗り継いで行く。
この頃になると、空はいよいよ暗くなり、だいぶ雪が舞い始めた。がっかりしながらも半ば諦め、リフトで登って行く。ところがリフトを降りる頃、いくらか雲が薄くなり、薄日が射し始めた。ほのかに期待しながらアイゼンを履いていると、見る見るうちに雲がとれ、歩き始める頃にはすっかり上天気になってしまったのである。
見事などんでん返しであった。
川場スキー場Dリフトの終点。リフトに乗った時は雪が降っていたのが、降りる頃には陽が射し始めた。
準備の整った人から順次登り始めて行く登山者たち。私も負けてはいられない。
最初の坂を登ると、剣ケ峰山への急登が目に飛び込んでくる。
この稜線の右側は雪庇になっているらしく、所々にクラックが口を開けていた。
急登を登りきり、少し行くと剣ケ峰山の山頂が見えてくる。
剣ケ峰山の山頂手前の祠。見事なエビの尻尾ができていた。
誰かが泊まっているらしく、立派な雪洞があった。
剣ケ峰山山頂へ。
剣ケ峰山山頂は両側が切れ落ちた痩せ尾根だ。風が強い時はさぞ怖いだろう。
剣ケ峰山山頂からの下り。こちら側の方が険しく、トレースがない時は難しい斜面だろうが、今回はしっかりと階段状にトレースがついており、それほど苦労せずに通ることができた。
ここから眺めると、沖武尊までのルートが一望に見渡せる。
剣ケ峰山を下ってから振り返ってみる。なかなかダイナミックな眺めだ。
ちょっとかわいいモンスター。
だいぶ下る。これを帰りにはまた登り返すのか…。
巨大なビックバード。
ミニチュア槍ヶ岳。
いろいろな形をしたモンスターの間を抜け、沖武尊を目指す。
景色を眺めながらのんびりと歩いているうちに、いつしか沖武尊が近づいてくる。
稜線上を見ると、風が強いのか雪煙が立っている。
見事なシュカブラ。
短いがなかなかの急斜面。ここを登れば稜線だ。
沖武尊山頂からの展望。
山頂でコーヒーでも淹れてのんびりしようかと思っていたのだが、山頂は意外に風が強く、とてものんびりできる状況ではなかったため、10分ほどで下山を開始。
山頂にいた人々も皆短時間で下山をはじめていた。
稜線から急斜面を下ると、しばらく平らな台地を進む。このあたりはまったく風がなく、気持ちがよいため、ここで休憩をする人が多い。私も適当なところに腰を下ろし、コーヒーを沸かしてのんびりすることにした。
モンスターの間を縫うように歩く。なかなか楽しいルートだ。
同じ道を戻るのだが、帰りはまた違う景色が見えて楽しい。
こちら側から見る剣ヶ峰山はなかなかカッコいい。
直下から見上げる剣ヶ峰山。
急斜面を登り、再び剣ヶ峰山山頂へ。
もうゴールは近い。
あまりにも気分が良く、このまま下山してしまうのがもったいないようだ。
剣が峰山を下り、もうすぐリフト駅というあたり。稜線沿いに大きなクラックが入っている。おそらくこの右側は雪庇なのだろう。足跡やスキーの痕があるが、怖いもの知らずである。
雪庇のある稜線を過ぎると50mほどの斜面を下り、リフト駅の前に出てゴールだ。
アイゼンを外し、再びリフトを乗り継いでゲレンデを下る。
ちょうど昼時なので、ゲレンデの施設内でのんびりと昼食を摂り、少々まったりしてからゲレンデを後にした。