2020年9月22日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(大中宿)」
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ルートタイム
コロナの影響とその煽りで忙しくなった仕事のせいで、半年以上まともに山に行けなかったのだが、そろそろ我慢も限界と、1〜2泊の山行を計画していた。が、やはりそれも叶わず、シルバーウィークの最終日になってやっと時間と天気の折り合いがつき、近場の日帰り登山にでかけることができた。
茨城県内はあまり高い山がないため、これまであまり登っていなかったのだが、奥久慈の山は低いが岩場の面白い山が多いことに気付き、最近注目をし始めていた。今回の籠岩山もそう行った山の一つで、籠の目のように穴の開いた奇岩が名物だが、そこに至る登山道の険しさはなかなかのものという。これはいわば好きの血が騒ぐ。
ルートも短いのでのんびりと出発し、7時30分頃につつじヶ丘駐車場に到着。ここは10台ほど駐められるスペースとトイレもある。
駐車場では二人の登山者がちょうど準備を終えて歩き出すところで、彼らに挨拶をして自分も準備に取り掛かる。
駐車場からは奥久慈の山々が一望できる。左奥に見えるのは男体山か。
15分ほど、奥久慈パノラマラインスーパー林道を下っていくと、佐中の一軒家と呼ばれる家が現れる。ここに案内板があり、なんとこの家の庭に入っていくように示している。
入っていくと庭先から川沿いに径が分岐しており、登山道はこちらを進むようだ。
川沿いの細径を数分も歩くと、すぐに不動滝が現れる。
水量は少ないが、落差はあり、なかなか美しい滝だ。
さきほど駐車場で先行していた二人組が休憩しており、話をするとすぐに仲良くなる。
鎖が付けられた岩を登り、滝の上に上がる。
ちょうど滝の落下点の横に出る感じだ。
ここからは深山幽谷の雰囲気漂う沢を登っていく。
少し行くと、大きな岩が径を塞いでいる。そこに倒木が立てかけてあり、しかもそれがロープで固定されている。これはどう見てもこの倒木を登って岩を乗り越えろというようにしか見えず、彼らの一人が果敢にアタックを開始。
後に続くべく見守っていたのだが、ふと横を見ると、沢の対岸の岩にステップが切ってあるように見える。もしかして、と思い行ってみると、簡単に岩の向こう側に出られた。
岩の上の彼は騙されたようなもので気の毒だったが、登ってしまったものは仕方がなく、非常に苦労しながら岩を降りるのをまた見守るしかなかった。
また少しこんな幽谷を歩いていくと、右側の崖にロープが設置してあるのに気がついた。明らかに右側の壁面をトラバースする径があるようだ。このまま沢を辿っても行けるのかわからなかったので、とりあえずロープに従って上に上がる。
やはり上には荒れてはいるが径がついている。途中、崩れている箇所もあったが、とにかく径に沿って行ってみる。
渓谷の最奥まで入っていくと、下に案内表示が見えた。やはり下からでも行けたようだ。
地図には「湯沢源流」とあるが、地形的にここがそうなのだろう。
さてどう見てもここからはきつい登りになりそうだと思っていたら案の定。鎖やロープに頼っての岩登りが始まる。
岩場と急勾配の痩せ尾根を登り詰め、ひときわ手強い大岩を登ると、いきなり目の前に異様な形状をした籠岩が現れる。
この山の名前の元になっている籠岩は、硬い集塊岩と脆い凝灰岩によってできており、脆い部分が風雨によって削られて大小無数の穴が開き、この籠の目模様が形成されたそうだ。
岩の基部は洞穴になっており、お地蔵様が祀られている。
基部から1本の梯子が上の岩穴に向かって伸びている。
狭い岩穴の中で梯子を乗り換えるのだが、ザックが邪魔になってなかなか難しい。
体をよじったりしてどうにか梯子を乗り換え、上に上がると、そこは籠岩の中程のテラス状になった場所。そこそこ広く、5〜6人程度ならゆったりと休憩できる。
ここは展望台になっており、なかなかの眺望が楽しめる。
一緒に登ってきた2人のうちの一人が茶道をやっているとのことで、一度山でお茶を点ててみたいと茶道具を持参しており、野点をしてくれた。
自分も一服いただいたが、こんな展望を眺めながらの野点は本当に風流だ。
ややこしいのだが、籠岩と籠岩山山頂は別の場所であり、山頂にも行きたかったのだが、自分の地図では籠岩山に行く登山道が記されていなかったため、行ってみて行けそうなら行こうぐらいに考えていた。
どうやら2人は籠岩山に行く予定でいたようで、渡りに船と、自分も同行させてもうことにする。
途中、また別の2人がそれに合流し、即席の5人パーティができあがった。
行ってみて分かったことだが、地図に載っていないのは、ここがどちらかというとバリエーションルートに近い位置付けだからのようだ。
多少の案内板等はあるが、作業用の枝道も多く、分かりづらい。
そして、2ヶ所ほど、ほぼ垂直の崖を下って登り返す所があり、自分のような岩場好きにはたまらないが、慣れていない人にとっては少々難易度が高いかもしれない。
写真のように、なかなかハードなルートである。
自分は最後尾を歩いていたのだが、先行していた人より下からの写真を頂いたので、掲載しておきたい。
そして二つ目の谷を登り返して少し行くと、もうすぐそこは山頂だ。山頂の手前に開けた場所があったので、しばし展望を楽しむ。
籠岩山山頂に到着。即席のパーティだが、一期一会の記念に皆で集合写真。
さて、山頂から先だが、彼らの地図には北側に降りてぐるりと周回するルートが載っており、少し遠回りにはなるが特に難所もなく、来た道を引き返すよりも短い時間で下山できそうだ。彼らも自分と同じ、つつじヶ丘駐車場に車を駐めているそうなので、この際、自分も彼らと最後まで同行することにする。
山頂から降っていくと、いつしか径は涸沢から沢になり、木漏れ日の差し込む森の中、幻想的な雰囲気を醸し出す。
山頂から降ること小一時間ほどで、奥久慈パノラマラインスーパー林道に出る。登山道はここで終了だ。あとはこの林道を歩き、30分ほどでつつじヶ丘駐車場に到着である。
今回は、なかなか山に行けない状況の中、近場の山で少しストレス解消をしようと出かけた山行きだったが、岩場といい、出会いといい、思わぬ楽しい山行きとなった。
これだから山はやめられない。