山径独歩(やまみちひとりあるき)
刈田岳 〜完全なホワイトアウト〜
2020年2月2日


「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(蔵王山)」

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ルートタイム

1  地蔵山頂駅       10:05
2  地蔵岳山頂   10:25    
3  熊野岳避難小屋   11:15  〜  11:40
4  熊野岳山頂   11:55     
5  地蔵山頂駅前   13:00  〜  13:05
6  三宝荒神山山頂   13:15  〜  13:20
7  地蔵山頂駅   13:30     
 以前、蔵王の樹氷を見に行こうとして、知識不足で宮城蔵王に登ってしまったことがあり、今度はちゃんと山形蔵王に登って樹氷を見ようと、地蔵岳から刈田岳の往復ルートを計画した。
 当日の天気予報はあまり芳しくはなかったが、それでも大荒れというほどではなかったため、予定通り出発。朝7時半頃に蔵王温泉スキー場に到着した。
 この時点では薄曇りといったところでそれほど悪い天気ではない。
 準備を整え、ロープウェイ待ちの列に並ぶ。ここはスキー・スノボ客に加えて登山や樹氷観光のみの客も来るため、ロープウェイ待ちは既に長蛇の列となっている。
地蔵岳
地蔵岳
 ロープウェイを2本乗り継いで地蔵山頂駅に登ると完全に雲の中に入ってしまった。時折薄日がさすことはあるものの、風もあり、軽い吹雪状態だ。
地蔵岳
地蔵岳
 地蔵岳への登山道もうっすらとは見えているが、その先の左側に向かう稜線は完全に雲の中だ。
 ルートは地蔵岳の山頂から左に折れるが、視界が数mの状態で、気づかずにまっすぐに進みそうになったが、GPSでルートを確認。
 地蔵岳から熊野岳に向かって歩いていくと、何組かの登山者とすれ違う。聞いてみると、やはり諦めて引き返して来たとのこと。
 自分もどうしようかと思ったが、GPSもあることだし、とりあえず行けるところまで行ってみようとさらに先へ。
熊野岳避難小屋
 目印の柱とGPSのおかげでなんとか前進し、気がつくと目の前には洞穴が。
 よく見ると大きなかまくらのようだが、これがどうやら熊野岳避難小屋のようだ。
 面白そうだし、休憩もしたいのでスノーシューを外し、中に入ってみることにする。

 小さな入口から滑り込むようにして中に入る。最初は真っ暗で何も見えなかったのだが、目が慣れてくると4〜5人の先客がいるのがわかった。中はそれほど広くなく、7〜8人も入ればいっぱいだ。
 挨拶をして、空いているスペースに腰を下ろし、周りの人達と談笑しながら行動食を食べる。

 彼らの話だと、この先、刈田岳までの馬の背は風が強く、行きかけたが戻ってきた人もいるとのことで、今日は無理をしない方がよさそうだ。
 どうせ、まったく景色は見えないし、またリベンジに来ることにして、今回は熊野岳山頂を踏んで引き返すことにする。
熊野岳
熊野岳
 避難小屋から熊野岳山頂までは目と鼻の先なのだが、まったく距離感のつかめないホワイトアウトの中。時折雲が流れてわずかに視界が開けた隙をつきながら少しずつ進む。
 自分の体ははっきり見えるし、自分の靴やスノーシューも見える。ところが地面は見えない。
 トレッキングポールで探りながら歩かないと、段差等に気づかず非常に危険だ。

 おそらく普通に歩けば2〜3分の距離だと思うが、15分ほどかかってようやく山頂に到着。
 といっても展望があるわけでもなく、すぐに引き返す。
 視界がよくなった状態で、やっと右上の写真のような感じだ。

 とりあえず避難小屋まで戻って、そこから地蔵岳方面に引き返すわけだが、ここで方角を見失ってしまった。
 風が強く、トレースがすぐに不明瞭になるのと、やはり皆が迷って歩きまわるためトレースがあってもあてにならないので、とにかく記憶に頼って来た道を戻ろうと試みた。
 しかし少し歩くとどうも違和感がある。時折わずかに見える地形が記憶と違うのだ。
 GPSを確認するとやはり全く違う方向に歩きだしていた。

 とにかくここはGPSに頼って方角を定めると、やっと記憶と合致するルートに戻ることができた。
山形蔵王
山形蔵王
 歩いていくと、どうやら天気は快方に向かっているらしく、時折開ける視界もだいぶ明瞭になってきた。
山形蔵王
 地蔵岳から下っていくと、樹氷の向こうにロープウェイの駅が見え始めた。
三宝荒神山
三宝荒神山
 山頂駅に着く頃には雲がだいぶ取れて、三宝荒神山がはっきりと見えていた。
 天気が良くなると樹氷の美しさも際立ってくる。
三宝荒神山
 今日の最後の目的地、三宝荒神山に登る。
 本日、唯一展望の開けた山頂に立てそうだ。
三宝荒神山
 10分程で山頂に到着。正面の地蔵岳を眺める。
 少し遅れてもう一人登山者が登ってきて、山頂でしばし談笑。一緒に下山することになる。

 今回は天候に恵まれず、最終目的地の刈田岳までは行けなかったが、ホワイトアウトという貴重な体験ができたことは収穫と言っていいだろう。
 また必ずリベンジに来ることを誓い、ロープウェイに乗って山を後にした。
山径独歩(やまみちひとりあるき)