山径独歩(やまみちひとりあるき)
2017年12月28日〜29日


「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(金峰山)」

ルートタイム

1日目

1  廻り目平駐車場       09:30
2  林道終点・登山口    11:00     
3  金峰山小屋   14:00     
4  金峰山山頂   14:45  〜  15:00
5  金峰山小屋   15:15     

2日目

5  金峰山小屋        06:10
6  金峰山山頂   06:40  〜  07:15
7  金峰山小屋   07:25  〜  08:30
8  林道終点・登山口    09:20     
9  廻り目平駐車場    10:10     
 奥秩父連峰の盟主と言われる金峰山。山頂は長野県と山梨県の県境に位置し、長野側では「きんぽうさん」、山梨側では「きんぷさん」と呼ぶそうだ。
 とても良い位置にある独立峰で、山頂からは富士山、南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳、北アルプス、浅間山など、360度の素晴らしい山並みを眺めることができる。
 山頂直下には金峰山小屋があり、年末年始は営業しているとのことで、12月28日の予約の電話をすると、年末営業の小屋明けなので、15時頃に来て欲しいとのこと。
 のんびり行けばちょうど良いだろうと思い、その日を予約。意気揚々と出発した。

 金峰山の登山ルートはいくつもあるが、今回はオーソドックスに廻り目平から林道経由での往復ルートを選ぶ。
 廻り目平には金峰山荘があり、大きなキャンプ場も併設されている。シーズン中はかなり混むのだろう。駐車場もかなり広いのだが、さすがにこの時期は人っ子一人おらず、広大な駐車場の端にポツンと車を駐め、歩き始めた。
 天気は上々、冷たい風が心地よい。

1日目

金峰山
金峰山
 キャンプ場を抜け、しばらくは林道を歩く。路面は多少雪があるが、雪の下はガチガチのアイスバーンだ。
 道に沿って流れる雪景色の渓谷が美しい。
金峰山
金峰山
1時間30分ほど歩き、林道にも飽きてきた頃、ようやっと終点が見えてきた。
金峰山
金峰山
 先にも林道が続いているようだが、崩れたのか道が分断されている。もちろんキャンプ場からは一般車両は進入禁止なのだが、管理車両もどうやらここまでのようだ。
 そのすぐ先に登山口入り口の表示。
金峰山
金峰山
 やっと登山らしくなってきた。
 意外とあっけなく中間地点。しばらく人が入っていないようで、まったくトレースはなし。
 ただ積雪はあまり多くはなく、ガレっぽい路面が雪で隠れているので、不用意に足を置くと捻りそうになることがある。
金峰山
金峰山
 傾斜がきつくなってきたと思ったら「あとすこし」の看板。小屋直下の急登に入ったようだ。
 木立の隙間から小屋が見えたと思ったらもう目の前が金峰山小屋。
 時刻は14時。予約の時に15時頃と言われていたが、やはりまだ誰もいないようだ。
金峰山
金峰山
 小屋の前にある岩。上にケルンが積んであり、登れそうだったが、周りに誰もいないので少々ヘタレて自粛。
 小屋はちょうど森林限界の位置にあり、小屋から上は見通しが良い。上に見えるのは山頂の五丈岩だ。
 この時間なら山頂を往復してくればちょうど15時過ぎに戻ってこれるだろう。
 小屋の前に荷物を置き、カメラと水筒だけを持って山頂にアタック。
金峰山
金峰山
 小屋の下にはまったくトレースがなかったのに、小屋の上にはトレースが残っていた。瑞牆山の方から来た人だろうか。
 流石に森林限界を超えると風が強く、かなり寒い。
 青空に霧氷が映える。
金峰山
金峰山
 小屋から40分ほどで山頂に到着。
 不思議と山頂は風がなく、暖かい。しばし景色を楽しみながらまったり。
 誰もいない山頂を独り占め。
 五丈岩と富士山。
金峰山
 八ヶ岳には少し雲がかかる。
 頃合いを見計らって下っていくと、小屋の煙突から煙が立ち昇っているのが見えた。
 どうやらスタッフが到着したようだ。
 デポって置いた荷物を回収し、小屋へ。
 小屋にはスタッフが一人、小屋明けの支度をしていた。ストープにあたりながら話をすると、今日の客は自分一人だと聞かされて驚く。
 その後また二人ほどスタッフが登ってきたが、一人のために小屋を開けてくれたことに恐縮している私に、「今日はお客がいなくても小屋には火を入れるから来るつもりだったんですよ」と笑ってくれたスタッフの皆さんに心から感謝。

 それにしても、しばらく人気のなかった小屋は冷え切っており、一生懸命薪ストーブを焚いてくれてはいるのだが、それでも室温がマイナス10度。
 自分は炬燵に入らせてもらっていたが、それでもアウタージャケットを脱げなかったほどだ。
 夕食の頃になるといくらか暖かくなり、やっとアウタージャケットは脱いだが、夕食は贅沢に炬燵で食べさせてもらう。
 この食事がなかなか絶品で、ちょっとしたレストラン顔負けだ。ワインまで付いて体も温まり、大満足。
 お腹も満足し、疲れも出てきたので少し早いが寝ることにする。
 2階がぶち抜きの大部屋になっており、ずら〜りと布団が並べてあるが、「ちょうど薪ストーブの上あたりの布団が暖かいですよ」というアドバイスにしたがい、そのあたりの布団に潜り込む。
 最初は寒かったので厚着のまま寝ていたのだが、言われた通りだんだんと暑くなり、真夜中ごろにはすっかり薄着になっていた。

2日目

 たいがいの山小屋では周囲のいびきなどに悩まされるものだが、今回はそれもなく、またすっかり暖かくなった布団でぐっすりと眠ることができ、予定通り5時30分に気持ちよく目が覚める。
 スタッフの皆さんを起こさなようにそっと支度をし、小屋を出る。山頂に御来光を見に行くのだ。
 まだ外は真っ暗だが、ヘッドランプを点けて歩き出す。山頂へは昨日一度登っているので気は楽だ。
金峰山
金峰山
 歩いているうちにだんだんと空が白んでくる。山での大好きな時間だ。
 今日は雲もなく、眺めは最高。八ヶ岳(左)や南アルプス(右)もくっきりと美しい。
金峰山
金峰山
 30分ほどで山頂に到着。富士山の威容が目に飛び込んでくる。
金峰山
金峰山
 だいぶ空は焼けてきているが、御来光までにはまだ少々時間がありそうだ。
 昨日もそうだったが、山頂は不思議と風がなく暖かいので、待っているのも苦にならない。
 そして雲海の向こうから期待通りの御来光が。
金峰山
金峰山
 暁に染まる富士。
 早朝の誰もいない山頂。なんて清々しい。
金峰山
 五丈岩は登れるそうだが、誰もいない時に何かあっても不安なので、今回は自粛。
金峰山
金峰山
 山頂から眺める八ヶ岳と南アルプス連山。今日は本当に展望が良い。こんな景色を独り占じめとは、なんて贅沢だろう。
金峰山
金峰山
 五丈岩にも陽が当たり始める。今度は無雪期に来て、ぜひ登りたいものだ。
 北側に目をやると特徴的な山容。あれは浅間山だ。
 30分ほど山頂を堪能し、下山にかかる。10分ほどで小屋に降りると、もう朝食の支度ができていた。
 朝食は土鍋たっぷりの朝粥。食べきれないかと思ったが、あまりにも旨くてぺろりと平らげてしまった。
 昨夜といい本当に食事の旨い小屋だ。

 食事が済むと荷造りをし、スタッフの皆さんにお世話になったお礼を言って小屋を後にする。
 ぐっすりと眠り、たっぷりと食べて元気一杯。体が軽い。天気も最高で、2時間30ほどで廻り目平の駐車場に下山となった。
山径独歩(やまみちひとりあるき)