茶臼岳を望む那須五峰の一角
2019年5月25日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(那須岳)」
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ルートタイム
那須連山の主要な五峰、「茶臼岳・三本槍岳・朝日岳・南月山・黒尾谷岳」を那須五峰と称し、百名山にも数えられる那須岳という山は存在しない。那須岳は那須連山の主峰である茶臼岳にあたるとされているが、一般的には那須連山を総称して那須岳と呼ぶことが多いようだ。
以前、茶臼岳・朝日岳・三本槍岳には登っているので、今回は那須五峰の南端に位置する南月山と白笹山を周回するルートを歩いてみることにした。
7時前に沼原駐車場に到着。ログハウスづくりの立派なトイレがある駐車場だ。
まずはダケカンバの木立の気持ちの良い道を歩く。
平坦な歩きやすい径を30分ほど行くと、日の出平への分岐に出る。ここをまっすぐに行くと三斗温泉の方に行けるようだが、今回はここを右折する。ここから登りが始まる。
シャクナゲだろうか。道端にたくさん咲いていた。
分岐から小一時間ほど樹林帯の中を登ると開けた笹原に出る。ここまでくると上りもひと段落だ。
景色も開け、まだ雪をかぶった会津の山々も見渡せる。
登山道脇にあった小さな池だが、畏敬池という札があった。驚いたことにまるでエイリアンの繭のようなものが池の中にびっしりと沈んでいるのだ。
このときは知らなかったのだが、帰ってから調べてみると、これはこの池に生息するクロサンショウウオの卵らしい。
これから登る予定の白笹山が見えてきた。
視界が開け、この先のルートが遠望できる。この斜面をトラバースして、あの尾根の向こうがに抜けるのだ。
日の出平に近づくとミネザクラの木立の中を進む。ここはミネザクラが見事だと聞いて期待していたのだが、残念ながら少し早かったようだ。
スタートから2時間ほどで日の出平に到着。ここから南月山の山頂まではもう目と鼻の先なので、少しだけ休むつもりだったのだが、そこにいた登山者と話が弾み、ついつい時間を過ごしてしまう。
わずかだが、綻び始めたミネザクラ。
すぐに山頂が見え始める。
日の出平から15分ほどで南月山山頂に到着。目の前に迫る茶臼山を眺めながらしばし休憩。
山頂には南月山神社とある祠が祀られている。
なぜ「南月山」というのか調べてみたところ、那須の山岳信仰の一つに白湯山信仰というのがある。これは出羽信仰を勧請したものなので、出羽三山を模して茶臼山が月山と呼ばれていたらしい。その茶臼山(月山)の南に位置するので南月山という名が付けられたということだ。
図らずもつい先日、月山に登ってきた身としては感慨深いものがあった。
予定ではここから白笹山を経由して下山するつもりだったのだが、まだ時間も早いし、少し物足りないので、ここから黒尾谷岳を往復してくることにする。妻にメールで予定の変更を伝えて、いざ黒尾谷岳に向かう稜線を下り始めた。
ところがこれがまた恐ろしく急な下りで、戻ってきてこれを登り返すと思うと少々怯んだが、なんのその。気を取り直して進んでいく。
長い急な径を下っていくと、急に目の前が開け、この先のルートが見通せた。
下り切ってしまうとあとは歩きやすい径になる。咲き誇るシャクナゲを楽しみながらのんびりと歩く。
最後にそこそこの急斜面をひと登りで黒尾谷岳山頂に到着。山頂は四畳半ほどの狭い場所で展望はなし。
しばし休憩ののち、来た径を引き返す。
思った通り、南月山直下の大登りがきつい。山頂手前で息切れと暑さでフラフラになり、少々木陰でへたばっていた。
南月山に戻り、時間もちょうど昼どきになったので、ここでラーメンを作って大休止。この景色を眺めながら昼飯と洒落込む。
さてたっぷりと休み、栄養補給もして元気を取り戻したので、予定のルートに戻り白笹山へと向かう。白笹山へは稜線歩きできつい登りはなさそうだ。
振り返るとさっき歩いた南月山から黒尾谷岳の稜線が一望に見渡せた。右側が黒尾谷岳、左側が南月山だが、あれだけ苦労した登りが、こうしてみるとそれほどきつい傾斜にも見えないのが不思議だ。
白笹山の山頂は特に何があるわけでもなく、ただ径の脇に標識が立っているだけだ。
それでも人がいないのをいいことに木陰を選んで道の真ん中でしばし休憩。
ここからは少々きつめの下りを1時間ほどで下山である。
ガイドブックに載っていた南月山と白笹山だけの周回ルートならのんびり登山といったところだが、そこに黒尾谷岳を入れるとこれがなかなかハードになる。体力に余裕があれば足を伸ばしてみるのも良いだろう。