2013年8月4日
「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(男体山・日光北部)」
3D MAP
ルートタイム
今年の梅雨明けには本当に悩まされた。
今年も例年通りに、梅雨明け直後に北アルプスを計画していたのだが、なかなか天候が安定せず、たまさか晴れると都合がつかずで、とうとう8月になってしまった。
8月前半の混み方は半端ではないと聞いていたので、北アルプスの計画は8月末から9月に延期し、女峰山を中心とする奥日光の山に計画を切り替えることにしたのである。
実はこの計画は、当初6月に予定していたものだったのだが、予想外に梅雨入りが早く、流れていたものである。
本当に梅雨に悩まされた2013年であった。
今回の計画は志津峠を起点とし、大真名子山、小真名子山、帝釈山、女峰山の4峰を制覇して周回ルートで志津峠に戻ってくるというもの。
右の地図を見てもらえば分かると思うが、大真名子山、小真名子山、帝釈山まではすべて稜線が繋がっておらず、登っては下るを繰り返すかなりハードなルートだ。ルートタイムでも10時間程度はかかる長丁場となるため、家を2時に出発。
戦場ヶ原を抜けて、光徳牧場入口を右折し、その先から林道へ。
途中に駐車場があり、「この先駐車禁止」というような看板が立っていたので、志津峠に着いたのかと思い、車を止める。道端にある地図を見ると、まだ志津峠までは7〜8kmはありそうな場所である。
こんなところから歩いてはとても間に合わないので、とりあえず行ける所まで行ってみようと再び車を発進させる。
志津峠に着くと、車が止められそうな場所の大部分が大きな丸太などで塞がれ、止められそうな場所には数台が既に駐まってしまっている。少し戻り、路肩の広い場所を見つけて車を駐めたのが5時。
そこで腹ごしらえをし、装備を整え、歩き出したのが5時40分であった。
志津峠の駐車スペースはなぜかかなり塞がれており、わずかなスペースは既に一杯であった。
少し戻って、路肩の広い所に駐める。何カ所か止められそうな場所があった。
志津峠の大真名子山登山口。志津峠は男体山、女峰山、大真名子山への登山口が集まっているターミナル・ポイントだ。
10分ほど登ると、八海山神像が姿を現す。
樹林帯の中の道はかなり湿気を帯び、土は柔らかく崩れ、荒れた道となっている。
荒れた道の急登が続き、なかなかしんどい登りだ。
登って行くうちに陽も高くなり、木漏れ日が緑に美しく映える。
長い急登に飽きて来た頃、三笠山神像が現れる。山頂までもう少しだ。
三笠山神像から少し登ると、急に開けた場所に出る。振り返ると男体山がきれいに見えていた。
日光三険の一つである難関、千鳥返し。
今回の楽しみの一つだったのだが、期待したほどの難関ではなかった。
程なく大真名子山の山頂に到着。山頂には御嶽神社の立派な祠と蔵王権現像が祀られている。
しばし休憩した後、歩き出す。今日の行程はまだ長い。
少し行くと目の前が開け、彼方に帝釈山と女峰山が見える。
下って行くと木立の間から小真名子山が見えてくる。
大真名子山と小真名子山の間のコル。ここから小真名子山の登りが始まる。
少し開けた雰囲気の良い場所だ。
標高差約300mを登り返し、小真名子山頂へ。さっきまでは晴れていたのが、だんだん雲が多くなって来た。
小真名子山の山頂付近には不思議なものが建っている。アンテナかと思ったが、近づいてみて見るとどうもアンテナらしくない。後で調べたところ、無線の反射板とのこと。
手前が帝釈山。奥が女峰山。
ここを下ってさらに帝釈山を登り返す。すでに山を二つ登った後には少々気が遠くなる景色だ。
なかなか険しいザレ場をコルに向かって下って行く。目の前にはまだ登らなければならない帝釈山がそびえ立っているので、できるだけ足を使わないように下ろうと思うのだが、急傾斜のザレ場で滑りやすく、嫌でも足に負担がかかる。
ザレ場を抜け、再び樹林帯へ。
葉と苔の緑が美しい道だ。
樹林帯に入ってほどなく、富士見峠に出る。ここがコルである。
登山道と交差している道はかつては車も走っていたということで、現在ではだいぶ荒れてはいるが、そこそこの道幅もあり、かつての面影を残している。
一休みした後はいよいよ帝釈山の登りだ。
あまり人が入らないのだろうか。帝釈山の登りはかなり荒れ、歩きづらい道が続く。
足場の悪い長い登りを登り切り、やっとのことで帝釈山の山頂へ。ここまでで約5時間30分。少しバテ気味になったが、ほぼ登りはここまでだ。
帝釈山山頂から来た道を振り返ってみる。
さっき通って来た小真名子山の反射板が小さく見える。大真名子山は半分雲の中。
さっきまではきれいに晴れていたのが、だんだんと雲が増えて来た。今日は夕方に雨という予報が出ているので、できれば降り出す前に下山したいものだ。
しばらく息を整え、やっとこさ腰を上げる。先には今日の最後の山頂である女峰山が見える。
登りはほぼここまでと言ったが、こうして見るとどうしてまだまだ一苦労である。
女峰山の手前に専女山という標識がある。ちょっとした岩なのだが、一応名前があるようだ。
ただし、私の見た限りこの山の名前が載っている地図はない。
専女山の標識の裏は岩が切れ落ちており、3mほどの垂直壁を鎖で下る。
思ったよりも早く女峰山が近づいて来た。
これが最後の登りである。距離は大してないが、なかなか険しい登りである。
ちょうど昼頃に女峰山町に到着。
荷物からバーナーを出し、インスタントラーメンを作って昼食にする。食べている間にもだんだん雲が増えて行くようだ。
とりあえず目的は全て達したが、まだ長い下山道が残っている。まあ下りで降られるならまだましだろう。
下りにかかるともろにガスに包まれた。見通しの利かない樹林帯の中で登山道の目印を見つけるのも困難なほどである。
唐沢小屋まですぐだと思っていたが、細心の注意を払いながらそろそろと歩くため、なかなか小屋が見えない。道を間違っていないかと不安になりかけた頃、目の前に小屋が現れた。
唐沢小屋は無人の避難小屋だが、けっこう大きな立派な小屋である。
ガスも濃いし、雨も降りそうだし、泊まって行こうかなとも思ったが、明日は仕事なので諦め、素直に下ることにした。
唐沢小屋から10分ほど下ると待ち望んだ水場である。この水場は水量が豊富で枯れることがなく、水温も夏場でも5℃で美味しいと評判の水場だ。
冷たくて旨い水を心行くまで楽しみながら休んでいると、下から年配のご夫婦が登って来た。今日は唐沢小屋に泊まるつもりとのこと。あと少しだと、水の補給だけをして登って行かれた。
右側の写真は水場にあった看板である。なんだか間が抜けて面白いので紹介したい。
ガスが濃くて展望は今イチだったが、樹林帯の中では幻想的な景色を見ることができた。
下っている途中でとうとう雨が降り出した。
いきなりの土砂降りだったので、レインウェアを着ているうちにびしょ濡れになってしまいそうで、ツェルト代わりに持っていた米軍のポンチョを被って歩く。馬立まで下ると川を渡って志津林道に出るまで20分ほどの登り返しとなる。
馬立のあたりは道が付け替えられており、草に覆われて道が見えづらいことと古いリボンが残っていることなどで少し道に迷う。
なんとか正しい道を見つけ、志津林道に出たとき、ほぼ同時に雨が上がった。
左の写真の道標の脇から出て来たのだが、ここでポンチョを脱ぎ、ザックにしまう。汗で濡れた服が雨上がりの涼しい風に晒されて、少々寒い。
ここからは右の写真のような歩きやすい道だが、これが意外に長い。終点の志津峠まで5kmほどあるだろうか。
長い道程だが、霧に霞む景色を眺めながら淡々と歩く。
ただ、平坦な道だがわずかに登りになっており、平らな道のつもりで歩いていると時間の経過とともに足に疲労が蓄積されるようだ。
志津林道を歩くこと約1時間で志津峠に到着。
時間は16時。とりあえず風呂に入りたかったので、急いで車を発進させる。
確かいろは坂の上の日光はどこのホテルもひがえり入浴は17時までとなっていたように記憶しているので、急いで峠道を下り、一番近いアストリアホテルへ。駐車場の入口に「日帰り入浴」の幟が立っていたので安心してフロントに行くと、今日はもう終了とのこと。
道すがら何軒か覗いてみたが、協定があるらしくどこも同じ対応である。仕方がないので、風呂は諦めて高速に乗ってしまった。
今回は生来の貧乏性もあって、大真名子山、小真名子山のルートと女峰山、帝釈山のルートをつなげて一度に歩いてしまったが、一般的にはこれらは別々のルートとして紹介されることが多い。
かなりアップダウンの激しいコースで、私のGPSの計算によると累積標高は約2,000m、時間にして10時間を超えるルートになる。
正直、私にしてもけっこうきついルートであり、このルートなら唐沢小屋1泊プランの方が余裕を持って楽しめるだろう。