正月、静かな山頂へ
2020年1月2〜3日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(八ヶ岳西部)」
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ルートタイム
今回の山行だが、実を言うと、当初の計画は全く異なるものであった。
当初は稲子湯からシャクナゲ尾根を通って白駒池に抜け、麦草ヒュッテに二泊して、北八ヶ岳を周遊する計画で、麦草ヒュッテにも宿泊の予約を入れていた。
ところが、当日朝、稲子湯登山口の駐車場に車を駐めて、いざ歩き出そうとすると、シャクナゲ尾根の登山口が厳重に閉鎖されているではないか。
これは完全に自分の調査不足であり、急いでスマホでググってみると、基本的にはシャクナゲ尾根ルートは冬季は通行止め。それでもあえてアタックするにはそれなりの装備と覚悟が必要であることが判明。
一瞬、挑戦してみようかという考えも頭をよぎったが、予備知識も計画もなく、いきなりアタックするにはリスクが高いと思い直した。
中山峠に登って、そこから中山を通り、高見石経由で麦草ヒュッテに抜けることも考えたが、少々ルートが長く、アップダウンも大きいので、明るいうちに到着できるかわからない。
決心して麦草ヒュッテに電話を入れ、謝罪してキャンセルさせてもらう。幸いなことに自炊のつもりで素泊まりの予約だったのでキャンセルに応じていただき、さて次はどうしようかと考える。
ここまで来てそのまま帰るのも残念だが、なにしろ計画が白紙になったのだから、これからあまり無謀な計画を立てるわけにもいかず、とりあえず黒百合ヒュッテに泊まって、天狗岳かにゅうにでも行こうと考えた。
早速、黒百合ヒュッテに電話をして今夜の空きを確認するとOKとのことなので、その場で予約を入れる。今日はとりあえずヒュッテまで行き、明日のことはそれから考えよう。
1日目
8時前には稲子湯登山口に到着していたが、予定変更のため、スタートは結局9時頃になってしまった。
その間にもどんどん車が入ってきて、この頃にはほぼ満車状態。
登山口の車止めゲートを抜け、いざ出発だ。
天気は上々。径もよく踏み固められており、歩きやすい。
2時間弱でしらびそ小屋に到着。ここで小休止。
みどり池は完全凍結。天狗岳もきれいに見えている。
誰かが雪をどかしたようで、氷が見えている。スケートができそうな立派な氷だ。
みどり池を過ぎるとすぐに現れるのが、中山峠と本沢温泉の分岐点だ。今回は迷わず右側の中山峠方面へ。
分岐を過ぎると、やはり通る人が少ないのか、トレースはあるがこれまでよりも格段に狭い。
しばらく平坦な径が続いた後、急な登りが現れる。
そろそろ中山峠の核心に近い。
それにしてもいい天気だ。
中山峠の最後の急登に差し掛かる。以前来たときはトレースもなく、ピッケルを振るいつつやっとの思い出登ったが、今回はしっかりとトレースができており、トレッキングポールのままで楽々登れてしまった。
前回苦労したのが嘘のように、もう中山峠の岩が見えてきた。
中山峠の鎖場。これを越えれば急登も終わりだ。
中山峠に到着。雪の中山峠はいつ見ても美しい。
あとは歩くこと数分で、今日の目的地、黒百合ヒュッテへ。
午後はヒュッテでまったりだ。
2日目
昨夜は早くに就寝したこともあり、4時前に目が覚めてしまう。
まだ真っ暗な小屋の中でそっと起き出し、自炊場へ。やはり朝の早い客が2人ほど起きているだけで、小屋の中は静まり返っている。
できるだけ静かにコーヒーを沸かし、朝食を採りながら今日の予定を考える。
天狗岳も良いがこのあたりでまだ行ったことがないにゅうには行ってみたい。
天狗岳とにゅうの両方に行くことも考えたが、逆方向でもあるし、あまり今日はガツガツしたくない気分でもあり、今日はにゅうにだけ行って下山することにした。
中山峠で御来光を見たかったのだが、外はだいぶガスっていたので、だいぶのんびりしてから7時前にヒュッテを出発。
まだ薄暗い径をのんびりと歩く。
小一時間ほどでにゅうに到着。
にゅうの山頂は大岩が積み重なったような形状だ。
ガスが濃く、風も強くて、すべてが凍りついているといった感じである。
岩場から下を眺めるとどうやら下は晴れているようだ。
もっとゆっくりしていたかったが、風が強く寒いので、15分ほどで山頂を後にする。
ここから中山峠まで引き返し、昨日登ってきた径を下山するだけだ。
順調に下山し、11時過ぎに稲子湯登山口に到着。
そして実はここで大失敗をやらかしてしまう。
今回、自分は車の都合でトラックで来ていたのだが、トラックというのは運転席の真下にタイヤがある。それを忘れて、アイゼンを履いたまま運転席のドアを開け、荷物を助手席の方へ放り込んでいたのだが、気がつくと下からシューという音がしている。
あっ! と思ったときにはすでに遅く、アイゼンの前爪がタイヤに見事に刺さっていたのだ。
とりあえず、予備タイヤと道具は揃っているが、なにせ不安定な雪の上、ジャッキアップもおっかなびっくりだったが、なんとかタイヤを交換し、無事帰路につくことができた。
その後、パンクしたタイヤだが、サイドウォールの穴なのでもう交換するしかないかと思っていたのだが、幸い修理をしてくれる店を見つけ、高額な出費は逃れることができた。