山径独歩(やまみちひとりあるき)
2013年2月16日


「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(信濃富士見)」

ルートタイム

1日目

1  沢入登山口       09:20
2  入笠湿原    11:30     
3  入笠山山頂   12:30  〜  13:40
4  沢入登山口   14:40     

 南アルプスの前衛の一つである入笠山は、山頂からの360度の展望が魅力の山である。
 夏であれば山頂まで30分程度のマナスル山荘まで車でアクセスできるため、初心者でも気軽に登れる山として人気が高い。
 また冬でも富士見パノラマリゾートのゴンドラを利用すれば山頂まで1時間程度。スキー場ではスノーシューのレンタルやツアーも実施しているので、初心者でも安心だ。
 とはいえ、あまりにお手軽でもつまらないので、私はゴンドラを利用せず、沢入登山口から登山道を登るルートを計画した。

 当日は朝4時に家を出発。中央高速道に乗り、諏訪南ICから登山口まではそれほど距離はない。7時30分ぐらいには到着できるだろうと踏んでいたのだが、諏訪南ICの一つ手前の小淵沢ICの手前でチェーン規制が入り、大渋滞に巻き込まれてしまう。
 おかげで、1時間30分ほど時間をロスし、諏訪南ICから高速を降りると一般道は完全に積雪状態である。
 国道20号線を少し戻り、登山口へ向かう山道を右折。この先は完全に圧雪の登りとなるため、四駆かチェーンは必需品である。
 細い雪道をひたすら登って行くと、終点が沢入登山口だ。その先にも道はあるが、この時期は通行止めである。
入笠山
入笠山
 予定よりも遅れて9時頃に沢入登山口駐車場に到着。既に2台ほどの車が駐まっていた。早速準備に取りかかる。
奥に見える道が登山道だ。
 おそらくここ1〜2日の間に積もったらしく、トレースはあるが、おそらく2人分ほどで、ほとんど踏み固められてはいない。
 スノーシューを履いていてもかなり沈み込み、なかなか手強い。
入笠山
入笠山
 入笠湿原までは樹林帯の中を進む。
 急斜面を斜行するようにトレースがついており、少しずつ高度を稼いで行く。

 登山口から15分ぐらい登った頃だろうか、トレースが大きく右に折れている所でふと左を見ると、少し先の木にピンクのテープがついている。
 おや、と思ってその先に目をやると一定間隔でテープが続いているではないか。どうやら道であることは間違いないようなのだが、トレースは全くつていてない。
 少し迷ったが、時間はあるし、試しに少し行ってみようと、トレースを外れ、新雪に足を踏み入れた。
 スノーシューでも膝下ぐらいまで沈む雪の中をじわじわと、200mほど進んでGPSを見てみると、どうも方角的に下って行きそうな感じである。
 この先で斜面を斜行して上の登山道と合流する可能性もあるが、このまま下って下の車道に出てしまうことも考えられる。
 やはりここは戻ってトレースに従うことにする。
入笠山
入笠山
 トレースに従って登って行くと、先行者がいた。
 どうやら正解だったようだ。
 けっこうな急斜面をトラバースして行く。
 景色の変わらない樹林帯に飽きて来た頃、目の前に門が現れた。
 入笠湿原の入口らしい。どうやら鹿が湿原に入るのを防ぐためのもののようだが、冬期は門の脇が通れるようになっている。
入笠山
入笠山
 門を通り過ぎ、入笠湿原に入ると、気持ちのよい雪原が広がる。
 湿原では、富士見パノラマリゾートから来る道と合流。スキー場でスノーシューのレンタルやツアーを企画しているらしく、団体さんが列をなしてやってくる。
入笠山
入笠山
 湿原にある小屋山彦荘。
 立派な小屋で、通年営業で宿泊可能らしい。
 私は使わなかったが、小屋の側にあるトイレは暖房入りで快適とのこと。
入笠山
入笠山
 山彦荘から遊歩道の上につけられたトレースを5分ほど進むと、車道に出る。もちろん冬期は閉鎖中だが、この車道のすぐ先がマナスル山荘だ。
 マナスル山荘も通年営業と聞いていたのだが、オフィシャルのWebサイトによるとどうやら冬期は営業していないらしい。

 その車道に出る手前の左手に昔のスキー場跡が広がっている。
 それこそ昔はマナスル山荘をベースにしてスキーヤーで賑わったらしいが、現在はスキー場としては使われていない。
 山頂へはこのスキー場跡を登る。
入笠山
入笠山
 スキー場跡から尾根道に上がり、白化粧をした美しい落葉樹林が登山者を迎えてくれる。
 山頂直下でトレースが二股に分かれる。直進すると遠回りだが緩い道。右に折れると近道だが急登だ。
 迷わず右の急登を登り、途中でふと振り返ると八ヶ岳が見えた。
入笠山
入笠山
 50mほどの急登ですぐに山頂に到着。雪山とは思えないほどの登山者の数だ。
入笠山
入笠山
 入笠山は南アルプスの前衛にあたる山であり、山頂からは南アルプス、中央アルプス、北アルプスが360度一望にできる。
 多少雲があったのが残念だが、それでもなかなかの展望だった。
 上は富士山。右は南アルプス。
入笠山
入笠山
 北東方向には八ヶ岳。
 北西側は北アルプス。
 時間も昼過ぎで小腹も空いた。行動食で済ますつもりだったが、時間にも余裕があるし、寒さもそれほどではないので、ラーメンでも作ろうと思ったが、さすがに山頂は風が強いので、少し山頂を下って、風のあたらない樹林帯の中で少し道を外れ、雪を踏み固めて食事にする。
 いつも通り雪をすくってコッヘルに入れるが、湿気の少ないサラサラ雪のため、いくら入れても水の量が増えない。マグカップで何度も何度も雪を足して、ようやくラーメンが茹でられるお湯を沸かす。
 ラーメンをすすっている間にも、横を大勢の団体さんが通って行く。数えたわけではないが百人やそこらは通っただろう。普通の雪山ではちょっと見られない光景だ。
入笠山
 これだけ大勢が踏み固めたため、トレースがボブスレーのコースのようになってしまった。
 下りは踏み固められたトレースを辿り、1時間ほどで沢入登山口へ。登りの1/3の時間で下山してしまった。
 入笠山は冒頭にも書いたように富士見台パノラマリゾートからなら初心者でも手軽に雪山を楽しめ、さらに山頂の展望も実に良い山である。また、沢入登山口から登ればそれなりに深い雪を楽しむことができるが、少なくとも沢入登山口から登る場合はスノーシューかワカンは必携だろう。
山径独歩(やまみちひとりあるき)