山径独歩(やまみちひとりあるき)
2014年2月23日
「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(藤原湖)」
3D MAP

ルートタイム

1日目

1  宝台樹スキー場駐車場       10:30
2  登山口    11:00     
3  洞窟分岐   11:30     
4  大幽洞窟   12:30  〜  13:45
5  登山口   14:40     
6  宝台樹スキー場駐車場   15:00     
 これまで1人か、せいぜい家族としか歩いたことがない私だが、今回初めて他人とパーティを組むこととなった。
 相手は同じ職場のSさん。独学でやってきた私と違い、Sさんは学生時代に山岳部で鍛えた本格派である。
 職場で山の話をしているうちに盛り上がり、パーティを組むこととなったのだが、彼はスノーシューは未体験ということで、ぜひやってみたいと早速購入。スノーシュー初体験なら手軽なコースとしては大幽洞窟が最適だろうと思い、今回の計画となったのである。

 当日の朝、ツアーの団体なども来るから早い方が空いていてよいだろうと考えたのが徒になった。
 宝台樹のスキー場前を通り過ぎ、前回車を駐めた登山口の駐車場まで登っていくと、駐車場の手前でタイヤが空転し、登れなくなってしまった。Uターンする場所もないので、そのままバックで坂を下り始めたが、途中からコントロールが利かなくなり、道の脇の雪壁に突っ込んでしまった。
 車を降りてみると、薄くつもった雪の下はつるつるのアイスバーンだ。それもかなり固い。
 Sさんに押してもらって一度は抜け出したものの、坂道のアイスバーン上で車が止まっておられず、どうやっても滑り落ちて行く。仕方なく、再び雪壁に車を押し付けて止める。
 幸い雪壁は柔らかく、車に損傷はないが、これは自力脱出は不可能と判断。JAFの出動を要請することにした。
 JAFに電話をすると、今日は救助要請が多く、到着は1時間30分後になるとのこと。まあ時間はあるし、車の中でのんびりと待ち、救助作業が終わったのは10時過ぎ。
 前回、四駆のノーマルタイヤでまったく問題なかったのでまったく心配していなかったのだが、今回はJAFの救助作業車も四駆のスタッドレスで坂を登れず、チェーンを巻くほどの路面状況。やはりチェーンは積んでおかなければならないと身に染みた。
大幽洞窟
 思わぬ事態でスタートが大幅に遅れてしまったが、朝の冷え込みとは打って変わって陽が昇ってからというもの、気温が急上昇。インナージャケットを脱いでも暑いほどである。
 今回はSさんが私の写真をたくさん撮ってくれたので、むさくるしくて申し訳ないが、今回は私がモデルを務めさせていただきたいと思う。
大幽洞窟
大幽洞窟
 武尊山の登山道を30分ほど進み、洞窟への分岐点へ。
 分岐点にはなぜかボディボードが。何かと思ってよく見ると、「レスキューボード」とある。どうやら遭難者の搬送用に自由に使えるようだ。前回来たときにはなかったものだが、何かあったのだろうか。
大幽洞窟
大幽洞窟
 分岐から沢沿いの道に入ると、古いトレースのみになった。少し遅くなったが、それでも今日は我々が最初のようだ。
 天気は最高。青空をバックに梢に乗る雪が美しい。
大幽洞窟
 心地よい汗をかきながら、のんびりと歩いて行くうちに、左手の斜面の上に洞窟が見えてきた。
 途中にある目印のサワグルミの木に気づかなかったが、おそらく積雪が多く、埋まってしまっていたのだろう。
 洞窟への登りはトレースが錯綜しており、少しとまどったが、どうやら無事に到着。
 時折、梢の雪が砕けて落ちてくる。高いところのものは写真のように粉雪になって舞うので美しいが、頭のすぐ上から落ちるとけっこう衝撃があり、さらに襟から首筋に入り冷たい。
大幽洞窟
大幽洞窟
 洞窟前まで来ると、前回来たときに比べて積雪量が大幅に多いのに驚いた。
 洞窟前は2m以上の高さに雪が積もっているため、まずその雪の壁を下って洞窟入口にたどり着く。写真のとおり洞窟内は氷旬保護のため立ち入り禁止だが、入口あたりには多少の広さがあるため、そこからじっくりと洞窟内の氷旬を堪能できる。
大幽洞窟
大幽洞窟
 積雪量も多いだけに、氷旬も前回に比べてかなり大きい。1mを超すものもけっこう見られ、実に壮観である。
大幽洞窟
 天井には一面に氷の結晶の花が咲く。
 洞窟入口の岩に腰掛け、氷旬を眺めながらしばしのんびりとする。じっとしていても全く寒くないのが少々拍子抜けだ。
 ただ、同じ職場の人とだとどうしても話題が仕事の話になってしまうのがなんとも…。いつもは山では仕事のことなどすっかり忘れているんだが(笑)。
大幽洞窟
大幽洞窟
 せっかくなのでコーヒーを飲もうと、雪を溶かして湯を沸かす。
 沸くのを待っている間に、いくつもの団体が到着。静かだった洞窟前がにわかに賑やかになる。
 洞窟前の急斜面に大勢が集まり、身動きがとれなくなってきたため、急いでコーヒーを飲み、下山することに。
 下山は来た道を戻るだけ。下りでもあるし、大勢が登ってきた後なので雪も踏み固められ、あっという間に降りてしまう。
 車道に出ると、朝あれだけ凍り、私の車を手こずらせた道路がすっかり溶けてしまっていた。
山径独歩(やまみちひとりあるき)