2012年11月28日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(松井田・南軽井沢)」
ルートタイム
この山径独歩のサイトでも紹介しているが、2年ほど前に裏妙義を縦走したことがある。
断崖絶壁で鎖場も多く、大変面白い山だったが、表妙義の方も気になっていた。
表妙義と裏妙義についてはこのマップを見ていただくとよくわかる。
〈妙義全域鳥瞰マップ〉
南東側の相馬岳を頂点とする白雲山、金洞山からなる山塊が表妙義。そして、中木川、妙義湖を挟んで北西側に位置する谷急山を頂点とし、丁須の頭などがある山塊を裏妙義と称している。
一般的には表妙義は中間道と呼ばれる山腹を縦断するハイキングコースがメジャーで、相馬岳に登り稜線を縦走するルートは中・上級者ルートとされ、ほとんどのガイドマップ等にも紹介されていない。
とはいえ、いわゆるバリエーションルートというほどでもなく、道案内のペンキ印や看板、鎖・梯子等などもしっかりと設置してあるので、特にロープワーク等の技術がなくても登山は可能である。
以前、裏妙義に行った時から表妙義もずっと気になっていたのだが、妙義山域でヒルが増えているという情報を聞き、暖かいうちは止めておこうと時期を伺っていた。
寒くなればヒルも活動を停止するのだが、断崖絶壁の多い妙義のこと、雪や氷になってしまうとかなり難易度が高くなる。その辺を考えてこの11月下旬あたりが最適と判断したのだが、そもそもヒルの問題がなくても、暑い時期の低山はあまり行く気がしないので、まあ良い選択だったと思う。
念のため、登山用品店でヒル除けの薬剤を購入し、持って行くことにした。
朝8時前に妙義神社のあたりに到着。そばに道の駅があったので、そこに車を駐めようと思ったが、看板が立っており、登山客の駐車場は少し離れた場所にあるらしい。案内地図があったのでそれに従い、登山客専用駐車場に車を入れる。
ここは市営で、もちろん無料だ。
駐車場で準備をし、靴を中心に例のヒル除けの薬を吹き付ける。
準備を終えて歩き始めると、すぐに目の前に表妙義の全貌が現れた。
駐車場から妙義神社山門まで約10分。上毛の東照宮と言われるだけあって、鮮やかな色使いの美しい神社である。
折しも紅葉の真っ盛り。少し遅いかと思っていたが、儲けものであった。
妙義神社の本殿は5年前の台風被害により修復工事中で参拝することができなかった。上毛の東照宮と称される国重文の美しい本殿と聞いていただけに残念である。
なお、私が行った10日ほど後、12月8日に工事が終わり、公開が再会されたことを後で知った。
仮の本社 波己曽社(はこそしゃ)。
仮とはいえ、どうしてなかなか立派なものだ。
ここで登山の安全をお祈りする。
波己曽社のすぐ脇に登山道の入り口があった。入山届けのポストもあり、書こうとしたが用紙がない。案内板があり、警察署に電話でも受け付けると書いてあったが、携帯の電波があまり良くなかったので今回は諦めた。
道の途中に市の作成した登山マップが掲示されていた。私も印刷して持って来たが、分かりやすい地図なので、参考にされたい。
こちらは
富岡市のサイトから高画質ダウンロードできる。
紅葉の美しい落葉樹林帯の中を進む。ヒルがいないか見回しながら歩くが、やはりこの時期はもういなようだ。
だんだんと傾斜が急になってくる。
下って来た年配のご夫婦は大の字まで行って来たとのこと。
ふと見上げると木洩れ陽に映える紅葉が美しい。
この鎖場を登り切ると大の字のある鞍部である。
登り切って振り返ってみる。
登り切る最後はかなりの傾斜だが、岩にステップが刻んであるので、それほど苦労することはない。
鞍部を右に行くのがルートだが、左に行くと大の字だ。大の字は写真のように突き出した岩塊の上に5m×5mという大きな「大」の字が立っている。これはもともとは江戸時代に建立されたもので、妙義大権現を現しているとのこと。左の写真が妙義神社参道入口から見た表妙義。ここからもしっかりと大の字を拝むことができる。
大の字には写真のようにほぼ垂直に近い15mの岩を鎖に頼って登らなければならない。とはいえ、ここもステップがしっかりと刻んであるため、鎖場の基本さえ理解していれば特に難しいことはない。
大の字は絶好の展望台でもある。
15mの鎖を登り切ると目の前には胸のすくような景色が広がる。
ただし、一歩踏み出せば下は断崖絶壁である。
まるで巨大な鳥が飛んでいるような空。
大の字の岩を降り、もと来た方へ。さっき登って来た鎖場の上を通り過ぎ、先へと進む。
10分ほどで辻にさしかかる。第一見晴からの道との出会いだ。
ここから先は「キケン 上級コース」。気を引き締めて向かう。
辻からさらに10分ほど登ると奥の院に到着する。
まるでインディー・ジョーンズに出てくる遺跡のようだ。
写真の左側が奥の院。右側が先へ行くルートである。
せっかくなので奥の院にお参りをして行くことにする。
石段というにはあまりにも急な石段を登り、さらに鉄梯子で再奥へ。
登ってみて驚いたのが梯子が固定されいない。見たところ簡単にはずれたりはしなそうだが、登る人は注意が必要だろう。
岩屋状になっている奥の院だが、上の方の岩に隙間があるので、明かりが入ってくる。
奥の院を出て、鎖場に取り付く。
かなり傾斜がきつく、長い鎖場である。ここもステップは切ってあるので、慎重に登れば危険はないが、高度感はなかなかなものである。
登り切って、そのまま左にトラバースし、安定した場所に出て一安心。
ホッとするのも束の間で、またすぐに次の鎖場が待ち構える。
ほどなく、稜線に出て、裏妙義が一望に見渡せる。
崖の上のしかも40度ぐらいの岩棚の上で、鎖に掴まりながら必死で撮影。
さて、風景を楽しんだら次はこの崖だ。
ほぼ垂直の上にわずかな岩棚の下は断崖絶壁。高度感はかなりのものだ。
登り切って下を見る。途中からは傾斜が緩くなっているが、その先は切れ落ちているのがわかるだろうか。
長い鎖場を登り切ると、玉石に出る。ここで、白雲山のほぼ最上部稜線に出たことになる。
ただし、鋸の刃のような稜線なので、相馬岳まではまだまだ大きなアップダウンが繰り返される。
崖をトラバースするようにつけられた細い道を行く。
今越えて来た岩を振り返る。歩いている時はそれほどでもないのだが、こうして離れたところから見ると、よく歩いて来たものだと思う。
ただし、鋸の刃のような稜線なので、相馬岳まではまだまだ大きなアップダウンが繰り返される。
この高度感が伝わるだろうか。
また鎖場。難所に次ぐ難所である。
ここは手前の岩と先の岩の間に多少隙間があり、岩を乗り移ってからの下りとなる。
高さはそれほどでもないが、手足の取り回しがなかなか難しい。
右側は降りてから下から見た全容だ。
ほどなく「大のぞき」に到着である。
ここからは30mほどの急降下である。ここはステップが切っていないので、わずかな足がかりを頼りに鎖に命を預ける。
延々と続く鎖場。
急で長い鎖場があまりにも多いため、力配分を考えないと腕の負担が大きい。
長い鎖を下り切って、下から見上げる。ここから見えるのは全体の半分ぐらいだろうか。
天狗岩と看板が立っているが、特に目を引くような岩でもない。
タルワキ沢分岐を通り過ぎると15分ほどで相馬岳山頂だ。
山頂では、さっき大の字で出会った3人組のパーティが休憩していた。彼らはさらに金洞山まで縦走するらしい。
目をやると、さらにここから続くバラ尾根から金洞山がきれいに見渡せる。今日はここまでだが、次回は私も金洞山までぜひとも縦走したいものだ。
北側を見ると浅間山の手前に裏妙義が見える。
飛び出した岩の上に木のように生えているのは丁須の頭である。
以前、裏妙義に登った時の丁須の頭の写真。これは裏側から見た形になる。
山頂でコーヒーとパイプを楽しみ、小一時間もゆっくりしてからやっと腰を上げる。
さっき通って来た道をタルワキ沢出会いまで戻り、右折してタルワキ沢を下る。
タルワキ沢はなかなか急なガレ場の下りで、スリップや落石に注意が必要だ。
タルワキ沢の入口は高い岩壁の間を歩く。幅5mほどだろうか。上を見ると空が狭い。
下ること30分ほどで中間道出会いに到着。ここからは一般ルートだ。
出会いを妙義神社方面に左折し、少し歩くと第二見晴である。
山頂付近はもう紅葉も終わってしまっていたが、中間道まで降りてくると紅葉が美しい。
これまでとは打って変わって歩きやすくなった中間道を散歩気分で歩く。
途中には第二見晴、第一見晴と二カ所の展望台があるが、登りに寄った大の字よりも遥かに低い位置なので、大の字からの展望とは比ぶべくもない。
そのうちあっけなく妙義神社に到着。
工事中の本殿前を失礼して通らせてもらい、わずかに美しい本殿を拝むことができたのは幸いであった。
今日も素晴らしい天気に恵まれた上、シャツ一枚で充分暖かく、快適な山行となった。次回はぜひとも金洞山までのフル縦走を計画したい。
今回使用したヒル除けの薬剤
「ヒル下がりのジョニー」
容量:140ml
価格:1,260円
メーカー:株式会社エコ・トレード
あらかじめ、ヒルの進入路となる靴やズボンの裾などに吹き付けて予防をするとともに、ヒルに直接吹きかけても効果があるとのこと。
結果としては、今回、ヒルにやられることはなかったことは確かだが、季節的にヒルの活動期でなかったこともあり、実際にヒルを見かけることもなかったため、効果の確認には至らなかったというのが正直なところ。
いずれ確認できたらまたレポートしたい。