2017年1月28日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(日光北部)」
ルートタイム
雲竜渓谷はあまりガイドブック等に紹介されることは少ないが、一度山岳雑誌に紹介されてから急激に人気の出たルートである。
聞くところによるとなかなか素晴らしい氷瀑が拝めるとのことで、場所も日光と自宅からそれほど遠くはなく、早速出かけてみることにした。
登山口近くの駐車場はすぐに一杯になってしまうと聞いていたので、早めに家を出発。6時過ぎに東照宮の脇の林道に入る。奥に進んでいくと、左側に広場があり、その辺りに車が溜まっている。どうやら駐車場らしく、順次車を駐めているようだ。広場といっても雪が積もっており、奥には入れないため、それほどの台数は駐められそうにない。とりあえず自分もそこに駐めることにした。
雪を踏みながらやっと車を落ち着かせた頃、登山口の方から下ってきた車が隣に駐めたので、聞いてみると、もうこの先に駐められそうなところはないとのこと。スペースはみるみるうちに埋まっていく。もう少し遅かったらここもダメだっただろう。思ったよりも登山者が多いのに驚いた。
準備を終え、歩き始めたのが6時45分頃。ちょうどライトなしで歩ける明るさになっていた。
すでに少ない駐車スペースは埋まり、無理やり駐める車でカオス状態の駐車場。
そこから登山口までの間にも駐められそうな所にはびっちりと車が駐まっており、改めて人気の高さに驚く。写真は登山口脇の駐車場。
登山口は2方向に分かれる。こんな看板が立っており、右にしか行けないように見えるが、自分が調べた情報では右はバリエーションルートのようなもので、左が一般ルートのはずである。
しかし左は立入禁止と書いてある。しかもそこには何故かパトカーが停まっており、中に警官が乗っているではないか。
これはバリエーションルートを行くしかないのかと思ったが、見ていると他の登山者は皆左の道に入って行く。パトカーの警官も別にそれを咎める様子もないので、自分も恐る恐るパトカーの横を抜け、左の道へ。
この道は舗装された林道であり、これを5kmほど歩く。少々退屈な道程だ。
退屈な林道を1時間ちょっと歩き、洞門岩へ。なぜかここには沢山の車が。警察の車や報道関係の車もあり、何かあったのかと聞いてみると、警察や山岳関係者の訓練が行われているとのこと。それで登山口にパトカーがいたのか。
洞門岩から道は二つに分かれる。左の道はそのまま車道で、距離は長いが平坦な道。右の道は距離は短いがアイゼン必須の登山道になる。
車道歩きはもう飽きたので迷わず右の道に進む。
少し行くと早速渓谷の絶景が現れる。だがこんなのはまだまだ序の口だ。
早速出てきた渡渉ポイント。
渡渉ポイントから少し行くと、距離は短いが道は急登になる。
急登を終え、崖沿いの道で立ち止まって撮影をしていると、体に立てかけていたトレッキングポールが倒れて崖下に落ちてしまった。
運良く10mほど下で木に引っかかって止まったので、少々躊躇したが捨てるのも悔しく、拾いに行くことにした。
背中のザックを下ろし、念のためにと持ってきたピッケルを持ち、クライミングの要領で崖を下る。思ったよりもアイゼンがよく効き、多少時間はかかったが、なんとかポールを回収して登ってくることができた。
右は登ってきた後に撮影した写真だ。
その先は一旦下り、再び川を渡って向こう側の斜面を登る。これが崖といっても良いかなりの急登で、雪も少ないザレた斜面ときている。立ち木や根っこを手がかり足掛かりにやっと登る。
二つ目の渡渉ポイント。滑らないよう気をつけながら川の中の石を踏んで渡る。
急登を登りきるとほどなく、渓谷を見渡せる展望台に出る。
渓谷を眺めながら一息ついたら、雪に埋まった階段を滑らないように気をつけながら下り、いよいよ雲竜渓谷へと入って行く。
展望台から数分も歩くと、早速氷瀑の登場。だがこれはまだ序の口だ。
左右に並ぶ氷瀑に誘われるように渓谷の奥へ。
途中からトレースが薄くなったが、とりあえず行けるところまで行ってみようと沢伝いに進んで行くと、岩窟に突き当たった。この先に進むのは無理なようだ。
戻ろうと思ってふと見ると、岩窟の脇から急斜面を登るトレースに気がついた。わずかなトレースだが、好奇心に逆らえず登って見ることにした。
崖に近い急登をアイゼンとピッケルをフルに使って数十メートルほど登るとやはりそこは行き止まり。右側の崖の上に人がいるのが見えるがここから登るのは無理なようだ。
それでも渓谷の最奥部を眺めるには絶好のポイントである。
景色を堪能し、下りにかかる。上から見下ろすと恐ろしいほどの急斜面だ。
メインの雲竜瀑にはどこから登るんだろう。考えながら来た道を戻ると、さっきトレースが薄くなったあたりで斜面を登っていく人たちに気がついた。ここが雲龍爆に登るポイントのようだ。
急斜面を少し登り、しっかりとつけられたトレースを辿って行くと、目の前に想像を超える景色が広がった。
話には聞いていたが、さすがにここまでの規模の氷瀑は想像していないった。
人も多く、空いた場所を見つけて腰をおろし、氷瀑を眺めながらコーヒーで一服。
氷瀑の横では警察・山岳関係者の訓練が行われており、それに同行してきたらしい地元のマスコミが登山者にインタビューをしたりしており、ずいぶんと賑やかな雰囲気だ。
雲龍瀑を堪能し、再び渓谷に降りる。渓谷の対岸にはまた素晴らしい氷柱が並んでいる。こちらもなかなか圧巻だ。
近くで見るとかなりの大きさであることがわかる。
崖はオーバーハングしているため、氷柱の後ろに入ることができる。
直径2mはありそうだ。
氷瀑を堪能し、帰路につく。
来た道を戻り、途中、砂防ダムの上の稲荷川展望台で女峰山を眺めながらラーメンで昼食。天気は上々、暖かく、すっかりまったりしてしまった。
今回は天気に恵まれ、また氷瀑の状態も良く、素晴らしい山行となった。
このスポットはここ数年、確実に訪れる人が増えているようで、今後ますます混雑することが予想される。
見ておくなら早いうちがいいのかもしれない。