噴煙を間近に岩場を登る
2018年8月4〜5日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(上高地・焼岳)」
ルートタイム
焼岳は北アルプスの入口、上高地に位置する標高2,455mの活火山である。バスに乗って釜トンネルを抜けるとまず目につくのがこの焼岳で、これを見るといつも「北アルプスに来たんだ」と実感させられる山だ。
以前から登ってみたいと思っていたのだが、やはりどうしても槍穂高の方に足が向いてしまい、なかなか登れずにいた。
実は今回、登山靴を新調し、まだ慣らし中である。こんなときでなければ行く機会がないと思い、焼岳登山を決定。
日帰りでも余裕で登れるのだが、靴の慣らしをしたいので、焼岳小屋で一泊し、二日目は割谷山経由で西穂山荘の手前まで行き、そちらから上高地に下るルートを計画した。
1日目
上高地から梓川沿いによく整備された径を歩くこと30分で、焼岳登山口に到着。
天気はすこぶる上々。木立の中は気持ちがいい。
しばらく登っていくと現れる梯子の橋。高所恐怖症の人にはきついかも。
左手に霞沢岳を眺めながら歩を進める。樹林帯を抜けると日射しがとにかく暑い。
このあたりはなかなか険しい所が多い、楽しいルートだ。
焼岳山頂がだいぶ近づいてきた。山頂から立ち上っているのは噴煙だろう。
先の方、なんか凄いところに梯子がかかっているのが見える。
近づいてみるとなかなかの高度感。暑さで少々参っていたので、梯子の手前で一息入れる。
梯子を越えて少し行くと、気持ちの良い草原になる。焼岳小屋までもうすぐだ。
登山口から2時間ちょっとで焼岳小屋に到着。
とりあえず宿泊の申し込みをしてから、ちょうど昼時なので小屋外のベンチで昼飯にする。
メニューはフリーズドライのリゾット。いつも非常省として持っていくが食べるのは今回が初めて。味はまあまあだが量的にはそこそこ満足感があり、これはこれでありだと思った。
1時間ほどのんびりし、山頂アタックに向かう。
荷物は小屋に置き、カメラと水筒だけを持った身軽なスタイルだ。
古屋のすぐ前に山頂への分岐があるので、径はわかりやすい。
熊笹に覆われた細い径を少し行くと、展望が開け、目の前に焼岳の姿が現れる。
手前にあるピークに登ると焼岳は目の前だが、ここから結構下って登り返しになるのがきつい。
登るにつれ、荒涼とした岩場になってきた。時には噴煙のすぐそばを登っていく。
登りながら上高地から穂高連峰が一望に見渡せ、飽きることがない。
振り返ると、手前には西穂高岳、その左奥に見えるのは大好きな槍ヶ岳だ。
山頂直下。噴煙で黄色に染まった岩のそばを通り、右側の岩の間の段差を越えるともうそこは山頂だ。
山頂はそこそこ広く、のんびりできる。
焼岳には北峰と南峰があるが、登れるのは北峰のみ。南峰は崩落しやすいため、立ち入りが禁止されているとのこと。
山頂からは穂高連峰が一望できる。
眼下に見えるのは焼岳小屋だ。
焼岳南峰と火口湖である正賀池。
南峰は立ち入り禁止と書いたが、どうやら積雪期なら登れるようなので、いつかぜひ登ってみたいものだ。
コーヒーでも飲みながらもう少し山頂を堪能したかったのだが、残念なことに荷物は小屋に置いてきてしまい、水しかない。
腹も減ってきたので、適当なところで下山にかかる。
登りでは気がつかなかったが、登山道のすぐ脇に噴気孔が開いていた。直径50~60cmほどもあるだろうか。足を滑らせたら危険な大きさだ。
16時前に小屋に戻り、夕食までデッキのベンチでパイプを吹かして時間を過ごす。この小屋は谷間にあり、展望が望めないのが少々残念だ。
本当に小さな小屋の割には宿泊客はそこそこおり、一人一枚の布団にはありつけたものの、スタッフの寝る場所がないようで、何人かのスタッフは外でテントを張って寝ていたようだ。
(※テント場はないので、一般客はテン泊はできません。念のため。)
食後はまた外に出て、暮れていく山を楽しみながらもう一服。
しかしやはり日が暮れると急に寒くなり、いつもながら早々に寝てしまうことにする。
2日目
朝4時半頃に起床。小屋の外に出ると既に数人が身支度をしていた。
自分も身支度を整え、まだ暗いのでヘッドランプを点けて5時過ぎに出発。今日は割谷山を経由して稜線を西穂山荘直下まで歩き、そこから上高地に下る予定だ。
あいにくと稜線上はガスがかかり展望は望めないが、下は晴れているようだ。
このルートは歩く人が少ないようで、自分もすれ違ったのは2人ほど。鬱蒼と木立が生い茂り、どうかすると登山道も覆い隠されそうだ。
クマザサの葉に落ちる朝露でズボンがぐっしょりと濡れ、少々気分も重くなる。
小屋を出発して1時間ほど。このあたりが割谷山の山頂だと思うのだが、とこだかよくわからない。三角点があると聞いたことがあるが、見つけられなかった。
仕方がないので、適当な場所を山頂と思い、しばし休憩にする。
相変わらず鬱陶しいガスが取れないが、ガスがかかった木立も幻想的で美しい。
焼岳小屋を出発して3時間ほどで西穂・上高地分岐に到着。ここを左に折れると西穂山荘はすぐそこだ。今回はこのまま上高地へと降りる。
下り初めは途切れ途切れに木道が現れる。
やはりガスがかかっていたのは稜線上だけだったようで、下り始めるとすっかり晴れ、暑くなってきた。
このルートには「宝水」と名付けられた水場がある。水量は少ないが、なんとか水筒に組むことができた。暑くなってきたこともあり、これが無性にうまい。
焼岳小屋から5時間ほど。上高地の西穂高岳登山口の門に到着。この門は中が休憩所になっており、これから登山にかかる人たちが一息入れていた。
11時前にバスターミナルに到着。やはり午前中のうちだと帰りのバスも空いていて良い。
新しい登山靴もだいぶ馴染んできたようだし、これからまたガシガシ登るとするか。