2012年3月3日

「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(磐梯山)」
ルートタイム
イエローフォールというのを初めて知ったのは、以前夏場に裏磐梯のキャンプ場にキャンプをしに来た時であった。キャンプ場の近くの温泉施設の壁に福島の名所見所案内のポスターが張ってあり、その中に写真とともに紹介されていたと記憶している。
こんなポスターに紹介されているぐらいだから簡単に見に行けるのだと思い、調べてみると、ほとんど雪山登山だというではないか。
まだ当時の私は夏山のみで、雪山など別世界ぐらいに考えていたので、とても行ける所ではないと諦めていた。
その後、少しずつ雪山にも登るようになり、スノーシューイングも何度か体験しているうちに、ふとこのイエローフォールのことを思い出した。
改めて調べてみると、スキー場のリフトを利用すればほとんど登りらしい登りもなく、雪山としては初心者向けとも言えるルートである。
早速、例によって次女を連れて出かけることにした。
2本のリフトを乗り継ぎ、ゲレンデの上へ。ここからスノーシューを履いて歩き出す。
天気はすっきりとはいかないが、時折太陽も顔を出し、まずまずのコンディションだ。
気温も高めで、ジャケットもアウターのみ。グローブもインナーのみで充分な暖かさだ。
眼下には氷結した桧原湖がくっきり。
さて、準備も整い、いよいよ出発だ。
さすがに人気のコースらしく、すでにたくさんのトレースがついている。
歩き出すとすぐに樹林帯に入るが、ここは池の上らしい。ぽっかりとあいた雪の広場を行く。
15分ほどで銅沼に出る。イエローフォールへはこの銅沼を渡って行くのだが、もちろんそれには沼がしっかりと氷結していなければならない。
見たところ、今年はまだ大丈夫そうだ。真新しいトレースもあるので、安心して足を踏み出す。
夏に同じアングルで撮影した銅沼の写真があったので、重ねて見ました。クリックすると雪景色へと変わって行く様子が見られます。
歩いてみると意外と広い銅沼の、気持ちのよい大雪原を行く。
銅沼を渡っていると、先の斜面を登っている数人の先行パーティが見えた。どうやら一人はスキーのようだ。
銅沼を抜け、緩い斜面にさしかかる。
裏磐梯の火口壁もだいぶ近づいてきた。すぐ近くでは噴気が上がっており、風向きによっては強い硫黄臭が流れて来る。
目的地のイエローフォールはあの火口壁の麓だ。
ほんの少しの緩い斜面を登り、また平坦な雪原を歩くこと数分で、イエローフォールが見えてきた。
イエローフォールに到着。
歩き始めて小一時間ほど。ほとんど登りもなく、あっけないほどだ。
イエローフォールは、火山である磐梯山の金属分や硫黄などが溶け込んで不思議な色合いになる氷瀑で、晴天が続いた後などはきれいな色にみえるそうだが、残念ながら今回はだいぶ雪が積もり、あまりきれいには見えなかった。
大きさも年によってだいぶ異なるようだが、今年は中ぐらいといったところだろうか。
少し早いが、ここで昼食にする。
手頃な場所を踏み固め、場所を作る。手近な雪をすくってコッヘルに入れ、とりあえず熱いコーヒーで一服だ。
コーヒーを飲みながら再度湯を沸かし、昼食用に持ってきたフリーズドライのうどんを茹でる。
これは今回初めて試す商品だが、1食500円ほどもする。差し障りがあるといけないので商品名は出さないが、正直、500円の価値は感じられなかった。
さっきまでは動いていたこともあって暑いぐらいだったのが、昼食を食べているとだいぶ冷えてきた。さらに風が強まり、吹雪というほどではないが、風に小雪が混じるようになった。
少し急いでうどんをかっこみ、荷物をまとめて下山にかかることにする。
下山は来た道を戻って下りもリフトに乗る方法もあるが、我々は歩いて下ることにしていた。
下りは登ってきた道よりも西側にルートをとり、ゲレンデを左に見ながら林の中を歩くことになる。
とりあえず、それらしいトレースがあったので、それを踏んで歩き出す。
振り返るとイエローフォールの真上に櫛ヶ峰の岩峰がくっきりと見えている。
下りのルートからは、さっき下から見た噴気口がよく見える。
下っていると天候が回復してきた。気持ちのよい雪原を下る。
しばらく下って行くと、どうもトレースが東に寄って行くようだ。GPSで確認すると、どうやらこのトレースはリフト乗り場に戻るようだ。
我々はリフトに乗る気はないので、ここでトレースを外れ、新雪の林の中に踏み込む。
トレースを外れるとスノーシューを履いていても膝までもぐる雪だ。目標物の見えない林の中、方角を定めて歩いて行くと、ほどなくゲレンデに突き当たる。
あとはとにかくゲレンデを左に見ながら下れば良いので簡単だ。ところどころ急斜面もあるが、それほど苦労することもなく下って行く。
ゲレンデの中を歩くわけにはいかないので、車を置いてあるスキーロッジを横目に見ながらさらに下り、ゲレンデの外周に沿ってぐるりと大回りをしてロッジへと登り返し、ゴールだ。
皮肉なことに、今回、この最後の登り返しが唯一登りらしい登りであった。