山径独歩(やまみちひとりあるき)
この季節、山頂はその門を開く
2019年4月28日


「国土地理院発行の2万5千分の1地形図
(湯殿山)」

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ルートタイム

1  県立自然博物園       07:45
2  湯殿山山頂   10:40  〜  11:10
3  県立自然博物園   12:40     
 出羽三山の一つとして有名な湯殿山だが、実はこの山には登山道がない。自分も湯殿山は登れない山なのだと思い込んでいたが、ふと、積雪期なら登れるんじゃないか、と思いついた。
 調べてみると、日本でも有数の豪雪地帯のため、厳冬期は雪が深すぎて難易度が高いが、春山シーズンにはけっこう登山者がいるというではないか。
 そこで、せっかく行くのならついでに月山も登ってしまおうと2日間の登山計画を立てた。

 4月27日の昼頃に自宅を出発し、高速道路を一路山形へ。今日の目的地は月山の麓にある「道の駅にしかわ」だ。ここは24時間トイレも開いており、さらには温泉まである車中泊には絶好の場所だ。実際車中泊の客もかなりおり、中には営業終了後のレストランの軒下にテントを張る人までいたが、これについてはマナーとして疑問を感じるところだ。

 暗くなる頃に道の駅に到着し、温泉に入ってのんびりし、早々に車の中で寝袋に潜り込む。夕方一旦止んでいた雨がまた降り出し、少々明日の天気が心配だが、晴れの予報を信じていつしか眠りについていた。
湯殿山
湯殿山
 朝、のんびりと出発し、7時過ぎに登山口となる県立自然博物園へ。昨夜の雨も何処へやら、予報通り素晴らしい天気だ。
 既に数台の登山者の車が駐まり、準備に余念がない。自分もその列に並んで駐め、準備に取り掛かる。
 準備を終え、7時45分いざ出発。トレースを見ると先行者は一人のようだ。
 麓での昨日の雨は山では雪だったようで、フカフカの新雪。だが、それほど深くはなく、アイゼンのみで楽に歩ける。
湯殿山
湯殿山
 普通、春山の雪はだいぶ汚れているものだが、昨日の雪のおかげで、厳冬期のような新鮮な雪を楽しむことができた。
湯殿山
湯殿山
 写真を撮るのに夢中になっていると、後ろから来たご婦人が追い抜いていったが、この方、ものすごく速い。
 しばらく歩いて行くと、さっき追い抜いていったご婦人と、自分の前にトップで先行していたと思われるご婦人が話をしている。
 ここまでは谷筋を歩いてきたが、ルートとしてはどこかでこの左側の尾根に上がらなければならない。先行していたご婦人はどこから上がるか少し先まで行ってみたようだが、ここから上がるのが良さそうとのこと。
 見ると急ではあるがそれほど高低差もなく、ここなら登りやすいと思われ、3人でその斜面を登る。
湯殿山
湯殿山
 思った通り、それほど苦労することなく登ることができた。あとは方角を定めてひたすら登って行くだけだ。
 尾根に上がると、月山の手前の姥ヶ岳がその姿を現す。あそこには明日登る予定だ。
湯殿山
湯殿山
 手前の丘の上の樹々がちょっといい感じだ。
 しばらくはゆるやかな稜線を登る。
湯殿山
 先に見える木立に入るあたりから傾斜がきつくなりそうだ。
 ふと気がつくと、木立の先に山頂が見え始めていた。
湯殿山
湯殿山
 思った通り木立に入るときつくなる斜面。先行者のトレースを使わせてもらいながらゆっくりと登る。
 木立を抜けると目の前には一面の雪の斜面が広がる。なんとも気持ちの良い景色だ。
湯殿山
湯殿山
 振り返ると登ってきたルートが見渡せる。
 現実感がなくなりそうな景色だ。なんだか夢見心地で登って行く。
湯殿山
湯殿山
 とはいえ、かなりの急登であり、息はだんだんと上がってくる。
 それでも夢中で登っているといつしか山頂が見えてきた。
湯殿山
湯殿山
 最後のひと登り。ここを登り切れば山頂だ。このあたりで、さっきのご婦人の一人がすでに下山してくるのとすれ違う。やっぱり速い。
 あえぎながら急登を登り詰め、山頂へ。
湯殿山
湯殿山
 山頂からは360度の眺望が楽しめる。真っ先に目に入ってくるのは隣の月山。明日登るのが楽しみだ。
 もう一人のご婦人の方が腰を下ろして休んでいたので挨拶をし、自分も風が避けられそうな灌木の影に腰を下ろして休憩。それほど寒くないので、コーヒーを淹れて少々まったり。
湯殿山
 樹氷になった灌木越しに展望を楽しみながら山頂を満喫。山の醍醐味の一つだ。
 まったりしていると先ほどのご婦人が話しかけにきてくれた。少しの間楽しくお喋りをし、彼女は先に下山。
湯殿山
湯殿山
 いつまでものんびりしていたいような気分だったがそうもいかないので、そろそろ下山にかかることにする。
 登りはアイゼンで登ってきたが、少々苦労する場面もあったため、下りはカンシキを履くことにする。
 身支度をして立ち上がると、ちょうど後続の登山者が一人登ってきた。
 登りに苦しんだ山頂直下の斜面。上から見ると吸い込まれそうだ。
湯殿山
湯殿山
 さらに下って行くと、続々と人が登ってくる。ほとんどが山スキーのようだ。スキーは下りが速いので歩きの我々よりもゆっくりと出てきたのだろう。
 ツアーらしき団体もおり、意外に人気のある山であることに気付かされる。
 下山の途中で見かけた年配のパーティのようだが、妙に苦労しながら登っていると思ったらなんと長靴で登っている。大丈夫なのだろうか。滑落しないことを祈るばかりだ。
湯殿山
 ともあれ、下りはあっけないほど順調で、昼過ぎに下山。カンジキを外そうとしたときにカンジキのベルトが一本なくなっていることに気づく。どこで外れたのか見当もつかなかったので、探すのは諦めた。
 今日はまた「道の駅にしかわ」に戻り、車中泊をして、明日はいよいよ月山だ。今日の素晴らしい天気が続くことを期待したいものである。
山径独歩(やまみちひとりあるき)